建築業界で利用する「建築CAD」を導入したいけれど、そもそもどういったCADソフトなのかわからないとお悩みの方もいるでしょう。またCADソフトの種類が多く、どれを導入すべきか悩んでいる人も多いはずです。
この記事では、建築CADの概要やソフトの種類についてわかりやすくまとめました。
おすすめのフリーソフト・有料ソフトも紹介しているので、建築CADソフト選びの参考にしてみてください。
建築CADとは?
建築CADとは、建築業界で使われているCADソフトのことです。
具体的な分類分けは明確に定まっていませんが、主に建築業界向けの機能が搭載されたCADソフトのことを建築CADと読んでいます。参考として、建築業界向けの機能を整理しました。
- 建材作図機能
- インテリアの配置機能
- 構造計算・シミュレーション機能
- ビジュアライゼーション機能
もしも建築業界の会社・個人として業務を実施したいのなら、建築CADを選ぶことによって、業務の効率化が可能です。設計業務はもちろん、施工管理や維持管理業務の効率化に役立つので、ぜひ建築CADを導入してみてください。
建築CADの種類
建築CADは、大きく「2DCAD」「3DCAD」の2つに分類できます。
それぞれ使い方や活用方法の違いを詳しくみていきましょう。
2DCAD
2DCADとは、2次元の図面に「図形」「数値」の情報を入力して作図するツールのことです。
例えば建築業界の場合は、次のような図面を作成します。
- 平面図
- 横断図
- 断面図
- 構造図(部材詳細図)
- 数量表
建物を上から見た図面である「平面図」、建物を横から見た図面である「横断図」など、面として建物の形状を表現するのが特徴です。各図面の整合性を考えながら形状や位置を決定することはもちろん、必要箇所の寸法を旗揚げしながら、設計に必要な情報を図化しなければなりません。
また2DCADは、図面を手書きしていた時代から用いられている長い歴史を持つ図面作成方法です。国土交通省によって、レイヤーや図枠といった建築図面のルールが細かく設定されています。
3DCAD
3DCADは、3次元のデータを組み合わせて立体的な図面を作成するツールのことです。
2DCADのように複数の図面に分けて作成せず、ひとつの3Dデータとして建築図面を作り上げます。
実際に建築する建物を3D化するため、経験を問わず、誰もがひと目で図面の内容を理解できるのが特徴です。合意形成を獲得しやすくなることから、近年では3DCADを利用する機会が増えています。
また、3DCADの機能をベースに数量や属性情報を付与できる「BIM」という考えが建築業界で浸透していることをご存じでしょうか。詳しくは以下の記事で解説しています。BIMに興味をお持ちなら、ぜひ参考にしてみてください。
建築CADのおすすめフリーソフト3選
建築CADの操作確認や、簡単な業務への活用を検討している方向けに、おすすめのフリーソフトを3種類紹介します。無料でありながら便利に使えるソフトをまとめているので、ぜひチェックしてみてください。
建築CAD①Jw_cad
Jw_cadはオープンソースとして提供されている無料の建築CADです。
直感的な操作で作図できることはもちろん、有料のCADソフトとの互換性に優れています。
2DCADとして業務でもよく用いられているので、ぜひ活用してみてください。
建築CAD②Solid Edge 2D Drafting
Solid Edge 2D Draftingは、機械系のソフトウェアを提供するSIEMENS(シーメンス)の建築CADです。主に機械系の図面作成に用いられていますが、建築CADとしても良く利用されています。
またSolid Edge 2D Draftingは、CAD操作を効率化できるカスタマイズ機能が豊富です。
標準製図機能を利用できるため、初めてCADを操作する人におすすめします。
建築CAD③FreeCAD
FreeCADは、3Dモデリングに利用できる建築CADです。
標準作図機能が搭載されているため、業界を問わず多くの企業で活用されています。
またプログラミング言語の「Python」を使ってカスタマイズできるのが魅力です。
プログラミングと建築をかけ合わせたい方は、ぜひ活用してみてください。
建築CADのおすすめ有料ソフト5選
建築CADの本格利用を考えている方向けに、おすすめの有料ソフトを5種類紹介します。
製品の特徴や機能情報を解説しているので、ソフト導入の参考にしてみてください。
建築CAD①AutoCAD
AutoCADは、エンジニア向けソフトウェアを多数提供しているAutodesk社のCADソフトです。
世界シェア上位に位置する人気のソフトであり、2DCAD・3DCADの両方に対応しています。
また、汎用性の高さがAutoCADの魅力です。
建築CADとしての機能はもちろん、機械、土木など様々な分野に活用できます。
建築CAD②Revit
Revitは、前述したAutoCADと同様にAutodesk社が提供しているBIMソフトです。
機能のひとつにCAD作図が搭載されています。
Revitの導入を求められるのは、主にBIM業務への対応が必要なユーザーです。
CADとしての機能だけが必要なのか、BIMとして使わなければならないのか検討したうえで導入してみてください。
建築CAD③Vectorworks
Vectorworksは、建築・土木・機械・エンタメ向けのソフトウェアを提供するA&AのBIMソフト(CAD機能もあり)です。導入するプランによって業界ごとの機能を使い分けできます。
ちなみに建築プランの場合なら、建材やインテリアに関する専用機能を使えるのが魅力です。
効率よく建築設計を実施したい方にVectorworksをおすすめします。
建築CAD④ARCHITREND ZERO
ARCHITREND ZEROは、建築業務の中でも住宅設計を得意とした3Dの建築CADです。
図面作成はもちろん、書類やパース作成をまとめて実施できます。
また、高画質なビジュアライゼーションに対応していること、無料の3Dカタログを活用できることが魅力です。建築設計に欠かせないシミュレーション機能を求めている方は、ぜひARCHITREND ZEROを導入してみてください。
建築CAD⑤Archicad
Archicadは建築家向けに開発・提供されているGRAPHISOFTのBIMソフトです。
CAD製図機能も搭載されており、ハイクオリティなビジュアライゼーションでリアルな建築物を作図できます。
また、複数のユーザーでプロジェクトを共有して作図できるのが特徴です。
チームで設計する場合があるのなら、豊富なコラボレーション機能の搭載されたArchicadをおすすめします。
建築CADの操作に役立つ資格一覧
建築CADを導入するのなら、あわせてCAD操作に関わる資格取得がおすすめです。
参考として、建築業界全体で役立つ資格をまとめました。
資格の名称 | 概要 |
CAD利用技術者試験 2次元CAD利用技術者試験 | 2DCAD操作1年以上の実績を想定した資格試験です。CADオペレーターの管理業務に役立ちます。 |
CAD利用技術者試験 3次元CAD利用技術者試験 | 3DCADを使った設計・製図についての資格試験です。設計補助やCADオペレーターを目指す方におすすめします。 |
建築CAD検定試験 | 建築図面の作図に重きを置いた資格試験です。3級から1級までランクが分かれています。 |
CAD実務キャリア認定制度 | CAD業務の実務遂行を目的とした資格試験です。2D・3DCAD双方の問題が出題されます。 |
AutoCADユーザー試験 | CADソフトの「AutoCAD」に関する知識・技術を示す資格試験です。 |
VectorWorks操作技能認定試験 | CADソフトの「Vectorworks」に関する知識・技術を示す資格試験です。 |
建築CADの操作だけなら資格がなくても可能
建築CADは、必ずしも資格が必要というわけではありません。
初心者からすぐに操作をスタートできます。
CAD関連の資格は、主に資格手当といった給与UPや転職活動で役立ちます。
自身がどれくらいの知識・技術を持っているのか証明したい人は、ぜひ資格取得を目指してみてください。
建築CADでおすすめな独学方法
これから建築CADを学びたいと考えている方向けに、おすすめの独学方法をまとめました。
自身の条件に合う方法で、建築CADを学んでみてください。
職業訓練校に通う
「建築CADとは何なのか」「どういった操作方法なのか」というように基礎から学びたいのなら職業訓練校に通うのが良いでしょう。ただし、職業訓練校に通えるのは次の条件に当てはまる人だけです。
- 一時的に失業し、新たに求職する人
- 転職のために仕事を辞めて求職している人
職業訓練校に通えば、お金をかけずに建築CADをマスターできます。
業務に役立つ知識・技術が身につくので、ぜひ活用してみてください。
セミナーを利用して学ぶ
建築CADを効率よく学びたいのなら、セミナーに参加して学ぶのがおすすめです。
例えば、次のようなセミナーで建築CADのことを学べます。
- 参加型講習会
- オンラインセミナー
参加型講習会の場合、現地に赴いて話を聞くのが特徴です。
中には、パソコンや建築CADツールの体験版をインストールした上で参加を求められる場合もあります。
一方、オンラインセミナーは、自宅などの好きな場所から建築CADについて学べるのが特徴です。自身の好きな方法を活用して、ぜひ建築CADを学んでみてください。
各種ソフトマニュアルを使って学ぶ
建築CADを独学で学びたい方は、CADソフトを提供するメーカーのマニュアルを活用して学習するのがおすすめです。操作方法や機能の使い方を無料で学べるので、なるべくお金をかけたくない人は、ぜひ独学で学習をスタートしてみてください。
建築CADについてまとめ
建築業界向けの機能が搭載されている建築CADには、無料版・有料版のソフトがあります。
提供されているソフトごとに機能や使いやすさが異なるため、まずは体験版の利用からスタートしてみるのはいかがでしょうか。
また、建築CADをマスターしたい人は、オンラインセミナーなどを活用して操作や技術を磨くことをおすすめします。豊富なCADセミナーが提供されているので、ぜひ利用してみてください。