3ds Maxは、3次元コンピューターグラフィックスを制作できるソフトウェアです。Windowsの環境であれば、パソコンにソフトを入れれば、プロ同様の3DCGを制作することができます。そこで、今回は3ds Maxでできる事や、どのような人が利用対象者になるのか、また2024年版の動作環境についても紹介していきます。
3ds Maxとは
3ds Maxとは、Autodesk社が販売するソフトウェアです。主にプロ向けのソフトとして、アニメーション、映画、ゲームで使えるほか、モーショングラフィックス制作現場での3Dモデリング、レンダリングなど幅広い用途で使用できます。
具体的な特徴として、モデリングツールセットによって広がりのあるゲームの世界の構築や建築設計における複雑なデザインをビジュアル化したり、リアルな3Dアセットを作成することができます。
また、自動化機能を用いれば、繰り返しの作業への効率があがり、納期の順守につながります。さらにUIが使いやすく、柔軟でかつ多機能なツールセットを用いているので、クリエイターにとっては作業に没頭できるという強みがあります。
また、似たような他のソフトも紹介しています。
3ds Maxの動作環境
Autodesk 3ds Max 2024を使うには、最低でも64ビット版で対応するハードウェアが必要です。その理由は、64ビット版オペレーティングシステムでサポートしているからです。
ハードウェア
ハードウェアの動作環境については、以下の通りです。
CPU | 64 ビット Intel® または AMD® マルチコア プロセッサ、SSE4.2 命令セットを使用 |
RAM | 最低 4 GB (8 GB 以上を推奨) |
ディスク空き容量 | インストール用に 9 GB のディスク空き容量 |
グラフィックス ハードウェア | 3ds Max 認定ハードウェア |
ポインティング デバイス | 3ボタン マウス |
ソフトウェア
ソフトウェアの動作環境については、以下の通りです。
オペレーティングシステム | 64 ビット版 Microsoft® Windows® 11 および Windows 10 |
ブラウザ | 次のブラウザの最新バージョン(Microsoft® Edge、Google Chrome™、Microsoft® Internet Explorer®、Mozilla® Firefox®) |
引用:Autodesk 3ds Max 2024 の動作環境
3ds Maxの価格については下記記事でも解説しています。
https://bimcim-kenkyujo.com/3dsmax/kakaku/
3ds Maxでできること
ここからは、具体的に3ds Maxでできることを紹介しましょう。3ds Maxでは主に以下のようなことができます。
- アニメーション
- フレーム・アニメーション
- スキンメッシュアニメーション
- マテリアルとライティング
- 3Dマッピング
- 逆動力学シミュレーション
- マクロスクリプト
それでは詳しくみていきましょう。
アニメーション
従来のアニメーションは、縦と横で構成された2次元で動いていますが、3ds Maxは、奥行きを加えた3Dアニメーションの制作が可能です。通常のアニメーションのほか、映画の3DCG、ゲーム画面でも重要視されるゲームの世界も3ds Maxで簡単に構築できます。また、インテリアや動物に至るまでシーンに登場するさまざまなオブジェクトを作成することで、躍動感あふれるアニメーションが構築できます。
フレーム・アニメーション
3ds Maxは、通常のアニメーションの他、フレーム・アニメーションの制作にも威力を発揮します。パラパラ漫画のようなイメージで作られるフレーム・アニメーションを3ds Maxで作るときには、最初に「キーフレーム」というポーズを作成し、キーフレームとキーフレームの間のポーズをソフトが計算をして埋めるようなイメージで構築していきます。
スキンメッシュアニメーション
3ds Maxは、キャラクターの動きに重要なスキンメッシュアニメーションの制作にも役立ちます。スキンメッシュアニメーションは、3Dの中にボーンと呼ばれる骨格を階層的に連結させたモデル(スケルトン)を配置させ、ボーンを動かすことで、周辺の頂点部分も動くことで、キャラクターの動きを実現させるものです。3DCGでは、スキンモディファイアを使って構築します。
マテリアルとライティング
3DCGをよりリアルに表現するための質感を実現させるものをマテリアルエディタといいますが、マテリアル(素材)に対して照明を当てるようなイメージで光を強調させる場所や反射、影をうまく配置してリアリティを実現します。
3Dマッピング
3DCGで、立体的な映像を写すための技術のひとつに3Dマッピングがあります。Gisやドローンを使って取得した地形画像を元に立体的に実現させる技術です。もちろん3ds Maxでも作成できます。色情報と拡散反射情報を使ったテクスチャマッピングをはじめ、高低情報を持釣パンプマッピング、透明感を出す透過マッピング、疑似的な写りこみを構築する環境マッピングなどが行えます。
逆動力学シミュレーション
3ds Maxでは、より専門的な技術でも用いられます。逆動力学と呼ばれる考え方で、現時点での角度や1秒ごとに進む角度(角速度)に対して、角速度を変化させる角加速度を与えようとする場合に、回転させるのに必要な力(関節トルク)を計算する方法です。簡単に言えば、物理的変化をシミュレーションできる、ということです。3ds Maxでは、こういった高度なシミュレーションができる機能を持っているため、アニメーション業界だけでなく、建設業界などでも重宝されています。
マクロスクリプト
3ds Maxには、マクロスクリプトの機能を搭載しています。簡単なプログラミングのようなもので、作業する上で頻繁に使う手順を一度登録しておけば、自動的に行ってくれるため、制作時間の短縮につながります。
3ds Maxが向いている人
3ds Maxは主にどのような人を対象として開発されたソフトでしょうか?主に以下の関係者が使います。
- ゲームやアニメ、映画業界のデザイン担当
- 建設業界
- VR/AR業界
- 学生版(教育用)
また、プロが使うために開発された3ds Maxですが、将来のプロを目指している学生向けに学生版もあります。そのあたりも含めて、詳しくみていきましょう。
ゲームやアニメ、映画の3DCGデザイン担当
3ds Maxは、ゲームやアニメーション、映画業界のデザインで3D空間を構築するのに大変役立ちます。他にも、3ds Maxはテレビ制作者やライティングアーティスト、さらに設計ジュアライゼーションプロジェクトに携わる3Dモデラーなどにとても役に立っています。
建設業界での使用事例
3ds Maxは建築業界でも威力を発揮します。建物の設計などでは通常CADを用いて行うのですが、それに加えて3ds Maxを連携させて使います。特に建物が完成した後のイメージをアニメーションで表現するときや、リアルなイメージを表現したいときに非常に役に立ちます。
VR/AR業界での使用事例
3ds Maxは、新しい技術として注目を集めている業界でも使用されています。例えば、ゴーグルを装着して360度の視界を覆って現実の世界と見間違うリアリティな感覚を体験できるVR(仮想現実)、グラスやスマホなどを通じて見ると、現実世界に新たなデジタル情報が付加されるAR(拡張現実)の業界でも威力を発揮しています。
3ds Maxには教育用の学生版がある
3ds Maxには、将来プロを目指す学生の教育のために1年間無料で利用できる学生版があります。学生版は教育期間限定のライセンスで、あくまで教育目的で使用することが条件です。
公的に認められている中学校・高等学校・短期大学・大学・専門学校などの学生・生徒を始め、学校の教職員、さらに別途政府(日本政府でなくても可能)から認定を受けた自宅学習プログラムのユーザーが対象です。学生版を利用するには、成績証明書や学生証のコピーなど一定の条件があります。
3ds MaxとMayaの違い
3ds Maxに似たソフトにMayaがあります。両者はよく似ていると言われていますが、どのような違いがあるのでしょうか?
Mayaは、主に映像制作用の3DCGソフトウェアで、ドラマや映画の特殊効果や視覚効果(VFX)の作成ができ、Mayaだけでもアニメーションが作れます。ただ、3ds Maxはどちらかといえば汎用性をもとめたソフトウェアのため、建設業界など幅広い分野で利用されることを想定しており、様々な有償無償のプラグインが用意されているので、拡張も思いのままです。また、CADとの連携ができるのが3ds Maxの大きな強みです。
Mayaはメディアやエンターテイメント業界に特化したソフトで、プログラミングスキルがあれば機能拡張ができ、どちらかといえば頭で考えて論理的に使います。見た目で直感的に使っていく3ds Maxとはその点が大きく異なります。また、MayaはMacでもWindowsでも使えますが、3ds MaxはWindowsのみ使用できます。
3ds Maxについてのまとめ
3ds Maxは3Dでアニメーションやゲームを作るのに適したソフトウェアで、様々な機能を持っており、アニメやゲーム業界だけでなく、建設業界など幅広い分野でも活用できる汎用性の高い3DCG制作ソフトウェアです。そして、学生版ライセンスがあり、教育目的という条件といくつかの証明書を提出すれば1年間無料で使えます。