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【2024】建築許可申請とは?手続きの条件・流れ・費用について解説

建築工事を始める前に「建築許可申請」をしなければならないと聞いたことはないでしょうか。
そしてなかには、建築許可申請の具体的な内容を把握できていない人もいるでしょう。

そこでこの記事では、建築許可申請の概要についてわかりやすくまとめました。
手続きの流れや申請先、条件、費用など、建築許可申請に必要な知識を解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。

建築許可申請とは

建築許可申請とは

建築許可申請は、市街化調整区域(都市計画法に基づいて市街化を抑制する区域)で建築する際に、事前許可をとる行為のことです。

一般的に市街化調整区域は建築行為が原則的に禁止されており、許可なく工事を始めると建築基準法や条例に違反したとみなされてしまいます。また行政による是正指導や罰金刑、さらには建築物の取り壊しといった命令を受ける可能性が高いです。

以上より、建築工事に携わる人はまず「自身が担当する工事が建築許可申請の対象なのか」を確認しましょう。会社としての信頼を失う原因になるため、十分に気を付けてください。

建築確認申請・建設業許可申請との違い

建築許可申請と似た言葉として「建築確認申請」「建設業許可申請」というものがあります。
ですが、3つのキーワードは似て非なる意味であることに注意してください。
参考として以下に比較表をまとめました。

建築許可申請 建築確認申請 建設業許可申請
目的 建築工事を始めるための申請 建築基準法に適合しているのか確認してもらうための申請 建設事業を営むために取得するための申請
申請のタイミング 工事開始前 工事完了後 事業開始前

まず建築許可申請は前述したとおり、市街化調整区域で建築をする場合に申請する手続きのことです。

一方で「建築確認申請」は住宅などを建てた後、建築物が建築基準を満たしているのかを確認してもらうために申請する手続きとなります。また「建設業許可申請」は建設業を営むため、行政からの許可を得る目的で申請する手続きです。

なお建設業許可は、軽微な建築工事といった一部の例外を除いで必ず許可の取得が必要です。
申請するタイミングなども異なるため、3つの申請の違いに注意しましょう。

建築許可申請が必要な条件

建築許可申請の条件

建築許可申請は、すべての建物に必要というわけではありません。
参考として、以下に都市計画法の条項を整理しました。

第四十三条
何人も、市街化調整区域のうち開発許可を受けた開発区域以外の区域内においては、都道府県知事の許可を受けなければ、第二十九条第一項第二号若しくは第三号に規定する建築物以外の建築物を新築し、又は第一種特定工作物を新設してはならず、また、建築物を改築し、又はその用途を変更して同項第二号若しくは第三号に規定する建築物以外の建築物としてはならない。

引用:e-GOV法令検索「都市計画法」

つまり、市街化調整区域に関する建物については、確実に建築許可申請の手続きを済ませたうえで工事に入らなければなりません。

また上記に合わせて該当する建築行為は次のとおりです。

  • 建築物を新築する場合
  • 既存建築物の用途を変更する場合、または用途変更に伴う増改築をする場合
  • 第一種特定工作物を新設する場合

ただし、その他の地域における建築許可申請は、地域によって市街化調整区域の考えが異なる場合があります。あらかじめ都道府県庁に申請の必要性を確認しておくとよいでしょう。

建築許可申請の流れ

工期など建築期間が限られている建築業では、何度も修正や再申請を求められるトラブルを避けるために、手続き前の入念な準備に力を入れなければなりません。

参考として、一般的な建築許可申請の流れをまとめました。
はじめて建築許可申請をする方は、全体の流れを理解したうえで動き始めましょう。

建築許可申請をする事前準備

まずは建築許可申請の内容を明確にするため、次の準備を進めてください。

  1. 建築計画について土木事務所に事前相談をする
  2. 申請を行う敷地内利用者から申請の同意を得る
  3. 他法令との関係を確認する

まず許可申請書の作成や手続きの手順は、申請先である土木事務所によって少しずつ異なります。
申請書をインターネットからダウンロードできる場合もあれば、特定の様式の書類を受け取りに、事務所まで訪問が必要な場合もあるので、電話確認をしておくとよいでしょう。

書類の準備が済んだら、建築工事をする敷地内権利者から申請の許可を取りましょう。
建築業者などは敷地の所有権や借地権を有していないため、事前に権利者からの許可が必要です。同意書を準備しておけば、建築許可申請の手続きをスムーズに進められます。

最後に、建築許可申請に関わる建築基準法だけではなく、県独自の法令など、ほかに手続きが必要なものがないかを確認してください。場合によっては別途申請を求められる地域もあるので、手続きの手間を減らすために事前確認をしておくと安心です。

建築許可申請の本手続き

事前準備が完了したら、次の書類・資料を用意して管轄の土木事務所に提出してください。

書類の名称 明記事項
建築物の新築、改築または用途の変更許可申請書 申請者氏名、電話番号
建築物(等)概要書
委任状 都市計画法の規定による申請手続を委任した場合のみ
申請の理由など 利用目的の説明
位置図 方位、縮尺、区域の位置(赤枠)
※縮尺2500分の1以上
付近見取図 ・方位、縮尺、区域の位置(赤枠)、道路の位置
・道路、排水施設等敷地周辺の公共施設
・主要交通機関からの経路、隣接建物その他の目的となる地物
・市街化区域の用途地域
公図の写し ・範囲は、敷地とその周辺
・方位、区域の境界(赤枠)
・転写した者の記名、捺印、転写年月日、転写場所
敷地内権利者の同意書 申請者が土地の所有権などを有していない場合のみ
土地登記事項証明書(最新のもの)
農地転用許可申請の受理証明書 申請地が農地を含む場合のみ
敷地現況図 ・方位、縮尺、敷地の境界(赤枠)
・土地の面積、形状、建築物の位置
・がけ、擁壁等のある場合はその位置、宅地の横断面
・排水施設の位置、種類、水の流れの方向、吐口の位置および放流先の名称
・道路の位置および幅員
・敷地および隣接地の地盤高
・既存の建物、工作物等の位置および形状
・その他、土地の現状を示す事項
※縮尺300分の1以上
土地利用計画図 同上
建築物平面図 方位、縮尺、間取り、各室の用途
※縮尺100分の1以上
建築物立面図 縮尺、軒の高さ、建築物の高さ
※縮尺100分の1以上
その他土木事務所長が必要と認める書類 要確認

あらかじめ建築計画を立てたうえで準備した書類を集めることはもちろん、情報を書き込んだ図面などを揃える必要があります。また法務局で登記証明などを取得する必要があるなど、準備に時間がかかりやすいことに注意してください。

なお、建築許可申請に必要な上記の書類は、あくまで一般的に求められるものを掲載しています。申請先である土木事務所によっては、ほかにも申請書類が必要になる場合もあるので、事前に問い合わせたうえで必要書類のチェックリストを作成しておくのが安心です。

また建築業務でよく利用する図面について詳しく知りたい方は、以下の記事をチェックしてみてください。

【2024】建築図面の種類や書き方とは?作成方法やよく使う図面も解説

建築許可申請にかかる費用

建築許可申請の費用

建築許可申請にかかる費用は、敷地面積によって変化します。

敷地面積 手数料の相場
0.1ha未満 約7,000円
0.1以上0.3ha未満 約20,000円
0.3以上0.6ha未満 約40,000円
0.6以上1.0ha未満 約70,000円
1.0ha以上 約100,000円

なお、設定されている建築許可申請の料金は土木事務所によって変化する場合があります。
事前に費用を確認したうえで、工事発注者と建築許可申請について話し合いましょう。

建築許可申請のためにCAD・BIMソフトを導入しよう

建築許可申請で使えるソフト

建築許可申請の準備を効率よく進めたいのなら、CAD・BIMソフトを導入するのがおすすめです。まず建築許可申請では、次のような図面資料を準備しなければなりません。

  • 位置図
  • 見取り図
  • 建築物平面図
  • 建築物立面図

例えば、位置図や見取り図身は赤枠でエリアを囲むほか、方位や縮尺といった情報、さらには関係する地物や経路を明記しなければなりません。

そして、なかにはExcelなどを使って図形ツールで直接書き込む人もいますが、それだと修正の手間がかかるほか、細かな微調整をしづらいというデメリットがあります。

位置図の作成

よって、建築許可申請の準備は最初からCAD・BIMソフトを利用するのが便利です。
レイヤーを分けて簡単に図面を整理できるので、ぜひCAD・BIMソフトを利用してみてください。

また建築CADについて詳しく知りたい方は、以下の記事がおすすめです。

【2024】建築CADとは?フリー・有料ソフトや必要資格を紹介

CAD・BIMソフトの使い方をセミナー講習で学ぼう

CAD・BIMソフトの使い方がわからないとお悩みなら、まずはセミナー講習を受けて基本的な操作を身につけるのがおすすめです。例えば、セミナー講習では次のような使い方を学べます。

  • CAD・BIMソフトの基本的な操作方法
  • 機能の使い方
  • データ管理や出力の方法

建築許可申請に必要な作業をまとめて学べるので、ぜひセミナー講習を探してみてください。

もしCADソフトであるAutoCADの知識を学びたい人は、以下のセミナー講習がおすすめです。
2日間という短期間でAutoCADの基礎・応用など実践的な知識を学べます。

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またBIMソフトであるRevitの知識を学びたい人は、以下のセミナー講習を受けてみてください。
上記と同様に、2日間でRevitの全容をチェックできます。

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建築許可申請についてまとめ

建築許可申請は、市街化調整区域における建築工事に欠かせない手続きです。
本記事では建築許可申請に必要な手続きの条件や流れ、料金の目安情報をまとめているので、紹介した情報をもとに建築許可申請の準備を進めてみてください。

なお、申請手続きの条件は対象エリアによって変化します。
一度管轄である土木事務所に確認のうえ、必要書類を準備してみてください。

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