3Dプリンターは趣味や教育、プロトタイピングなどさまざまな用途で活用できますが、その種類や性能は多岐にわたります。どの3Dプリンターを選んだらいいのか、迷ってしまう人も少なくありません。
今回は3Dプリンターの選び方から、おすすめ商品や価格、使い道などをご紹介します。
おすすめの3Dプリンターの選び方
3Dプリンターは多様な形やサイズの物体を造形することができる装置ですが、その種類や性能はさまざまです。3Dプリンターは下記4つの選び方のポイントを押さえておきましょう。
- 造形方式
- 造形可能サイズ
- 対応素材
- 価格と予算
造形方式
3Dプリンターは、大きく分けて5つの造形方式があります。
3Dプリンターの造形形式 | 特徴 |
熱溶解積層方式(FDM法) |
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光造形方式(SLA・DLP法) |
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粉末焼結方式(SLS法) |
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インクジェット方式 |
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粉末積層方式 |
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造形可能サイズ
3Dプリンターは、一度に出力できる造形物のサイズに制限があります。したがって、大きな物体を作成したい場合は、造形可能サイズが広い3Dプリンターを選ぶことが必要です。
広い造形範囲を持つ3Dプリンターは、一度に大きな寸法の物体を作成することができます。
ただし、3Dプリンターで大きなサイズの造形物を作成する際には、いくつかのデメリットも考慮しなければなりません。
大きな物体は、3Dプリンターの構造上の制約や物体の重さによって、歪みや反りが発生する可能性が高まります。大きなサイズの造形物は出力に時間がかかることもあります。
層を重ねていくため、造形物が大きくなるほど出力時間も増加するのです。
対応素材
3Dプリンターの造形方式によって使える素材が異なります。光造形方式(SLA・DLP法)の3Dプリンターでは、液体の樹脂を使うことが一般的です。これをレジンと呼びます。
レジンは光硬化性樹脂であり、レーザーやデジタルプロジェクターで紫外線や光を照射することで、層を固めて造形物を形成します。レジンの3Dプリンターは高精度なプリントが可能で、細かなディテールや滑らかな表面を再現できるのが特徴です。
一方、熱溶解積層方式(FDM法)の3Dプリンターでは、フィラメントと呼ばれる糸状の樹脂を使用します。フィラメントはロール状になっており、プリンター内のノズルを通じて加熱されて溶融し、層を積み重ねて造形物を作成します。
どちらの方式でも、素材の種類によって色や質感、強度が異なるため、使用目的や出力物の特性に合わせて適切な素材を選ぶことが重要です。
価格と予算
3Dプリンターは、価格帯によって性能や機能が大きく異なります。
安価なエントリーレベルの3Dプリンターは数万円から入手できる場合がありますが、高級なプリンターは数百万円にも達することがあります。
選ぶ際には、自分がどれくらいの頻度や目的で3Dプリンターを使用するのかをよく考えることが重要です。安価な3Dプリンターは初心者や趣味向けで、手頃な価格で手に入れられることが魅力です。一方で高価な3Dプリンターは、高度な機能や精度を提供するため、産業用途や専門家向けに適しています。
予算は無理せずに設定し、自分のニーズに合った適切な価格の3Dプリンターを選ぶようにしてください。
3Dプリンターの詳しい価格に関しては下記記事も参考にしてください。
おすすめの3Dプリンター3選
おすすめの3Dプリンターを3つ紹介します。
Adventurer4
引用:Fab mart
FLASHFORGE社の家庭用3Dプリンター「Adventurer4」は、前機種「Adventurer3」を改良した製品です。
- 大きな印刷サイズ(220mm x 200mm x 250mm)
- 高精度な移動動作
- 4.3インチの画面と向上した操作性
が大きな特徴です。
また、多様なフィラメントに対応し、HEPA13フィルター搭載による有害物質除去やWi-Fiやイーサネットなどの通信方式に対応しています。幅広い用途に対応し、高品質な造形物を実現する高精度な3Dプリンターです。家庭用として十分すぎる性能を持っており、個人利用に適したおすすめの3Dプリンターです。
Raise3D E2
引用:Fab mart
Raise3D社の3Dプリンター「Raise3D E2」は、高精度で安定した造形ができるデスクトップ型の3Dプリンターです。独立したデュアルエクストルーダーを搭載しており、同時に2つの異なる材料や色を使って造形することができます。
自動ベッドレベリングやビデオアシストオフセット調整システムなどの機能により、造形品質を向上させるとともに、操作性も高めているのが特徴的です。多種類のフィラメントに対応しており、PLAやABSだけでなく、ゴムライクやPCなどの特殊な材料も使用できます。
試作や治具製作などの用途に適しており、コストパフォーマンスに優れたRaise3Dシリーズのエントリーモデルです。
Raise3D Pro3
引用:Fab mart
Raise3D社の3Dプリンター「Raise3D Pro3」は、優れた安定性と使いやすさを提供しています。先代モデルである「Raise3D Pro2」と比較すると
- エクストルーダーヘッドを軽量化
- カートリッジ式ホットエンドを導入
- 造形精度とメンテナンス性が向上
という点が品質向上されている3Dプリンターです。
多様なフィラメントにも対応し、日本OFPプログラムで認証されたサードパーティ製フィラメントも利用可能です。デュアルヘッドを備えており、ミラーモードや複製モードなどの同時造形が可能な機能も搭載しています。Raise3D社の3Dプリンターフラッグシップモデルとして、高い評価を得ています。
おすすめの3Dプリンターの使い道
おすすめの3Dプリンターの使い道には、以下のようなものがあります。
製造業での試作品製作
3Dプリンターを用いることで、短時間で精密な試作品を製作することが可能です。
手間と時間のかかる試作品作成が、3Dプリンターを導入することで大幅に簡略化されます。
従来の製造プロセスでは、試作品を作るには専門の加工機器を用いたり、専門技術者による手作業が必要でした。3Dプリンターを利用することで、デジタルデータから直接立体的な物体を造形することが可能です。3Dプリンターなら設計変更や評価のプロセスが迅速化され、製品開発のスピードと品質が向上します。
医療分野での活用
3Dプリンターでは人工臓器や義肢、インプラントなどの医療用品の作成も可能です。
そのため、患者の生活の質を向上させるとともに、医療の進化に寄与します。
3Dプリンターを用いた医療用品の製造においては、カスタマイズ性が大きな利点です。
患者ごとに適した形状やサイズの義肢やインプラントを3Dプリンターで製作できるため、より適切な治療を提供できるようになるのです。
また、3Dプリンターを利用して患者の体や臓器の3Dモデルを作成することで、診断や手術のシミュレーションが可能に。医師はリアルなモデルをもとに手術計画を立て、リスクを最小限に抑えながら精密な手術をおこなうことができます。
フィギュアやアクセサリーなどの趣味・娯楽
自分の好きなキャラクターやデザインを基に、3Dプリンターで独自のフィギュアやアクセサリーを手軽に作成できます。3Dプリンターを使ってフィギュアを作成する際には、インターネット上で公開されている3Dモデルを利用することもできますし、自分でデザインしたモデルを使うことも可能です。
趣味や興味に合わせて、さまざまなキャラクターやデザインを選び、独自のコレクションを形成することができます。3Dプリンターは写真や人物を3Dスキャンすることも可能で、スキャンしたデータを基にオリジナルの記念品やプレゼントを作成することもできます。
3DプリンターでCADデータを作りたいと思ったらこちらの記事も参考にしてください。
おすすめ3Dプリンターについてまとめ
3Dプリンターを選ぶ際には、造形方式や機能、価格などを考慮する必要があります。また、使い方やメンテナンス方法も製品によって異なりますので、選ぶ際には注意してください。
自分にぴったりの3Dプリンターを見つけて、アイデアを具現化してみてはいかがでしょうか。