AutoCADで設定できるブロック機能は、オブジェクトの流用に便利です。
しかし、定義したブロックが増えすぎて削除したいと考える方も多いのではないでしょうか。
そこでこの記事では、AutoCADのブロック定義を削除する方法について詳しくまとめました。
また、ブロックの概要やブロックを削除できない場合のエラーチェックも解説しているので、AutoCAD操作の参考にしてみてください。
AutoCADのブロックとは?
そもそも、AutoCADで用いるブロック機能が何なのか分からない人もいるはずです。
まずはブロック機能の概要として、以下の3ポイントを詳しく解説します。
- 図面をひとつにまとめられる
- 図面の使い回しで役立つ
- データを軽量化できる
ブロック機能の魅力について、ぜひチェックしてみてください。
図面をひとつにまとめられる
AutoCADのブロック機能とは、作成したオブジェクトを「ひとまとまり」にする機能のことです。通常、10個のオブジェクトからできた図形は、10個ばらばらの状態で管理しなければなりません。
一方、ブロック機能を使えば、10個のオブジェクトを1つのオブジェクトに集約できるのです。
また、AutoCADのブロック機能を理解するうえで重要な用語を以下に整理しました。
後半の説明で登場する用語ですので、ぜひ参考にしてみてください。
用語 | 内容 |
ブロック | ひとまとまりの図形のことです。 同じ図面内で利用できる「内部ブロック」、別の図面で利用できる「外部ブロック」があります。 |
ダイナミックブロック | 挿入した状態でそのまま形状変更が可能なブロックです。 通常のブロックは、挿入後に分解しなければ形状を変えられません。 |
属性定義 | ブロックに文字情報を付与できる機能です。 部品リストや図枠の作成に用います。 |
図面の使い回しで役立つ
AutoCADのブロック機能の魅力は、作成した図面・オブジェクトを自由に使いまわせるということです。手軽に必要な図面・オブジェクトを呼び出せるため、新たに1から作成する必要がなくなります。
自分で好きにブロックを登録できるため、よく使う図形やオブジェクトを登録しておくと便利です。
また、登録するブロックは、一緒に属性定義を行えます。名称を決められるほか、ブロックの寸法表示単位や挿入する際の基点などの情報を整理できるのが特徴です。登録したブロックの説明書きも保存できるため、何に利用するブロックなのか仕事やチームで共有できます。
データを軽量化できる
AutoCADの図面作成において、注意しなければならないのがデータ容量です。
大量の図形がまとまったAutoCADのデータは低スペックのPCで開くのに時間がかかるほか、動作が遅くなってしまいます。
対して、AutoCADのブロック機能を使えば、オリジナル作成の図面よりもデータを軽量化できます。なぜなら、オブジェクトを形づくる「パス(点)」の数が1つにまとまり、表示する際に読み込む処理が簡易化するからです。
図面作成時の悩みであるデータ容量にお悩みの方は、ぜひデータ軽量化のためにAutoCADのブロック機能を活用してみてください。
また、AutoCADのブロック削除だけでなく、AutoCAD全体の基礎知識を学びたい方もいるはずです。それならぜひ、以下の記事をチェックしてみてください。初心者向けにAutoCADの操作方法・使い方を整理しています。
AutoCADのブロックを削除できないのはなぜ?
AutoCADの増えてしまったブロックを、いくつ削除したいと考えていないでしょうか。
一般的には「PURGE」というコマンドを使えばブロックを削除できます。
しかし、次の理由でブロックを削除できない場合があるのです。
- 図面内に削除したいブロックが混じっている
- レイヤーのどこかにブロックのデータが残っている
つまり、使用中のブロックがあると特定のブロックを削除できません。
ブロックを削除したいのなら、図面内に入っているブロックを削除するか、ブロック機能を解除したうえで「PURGR」コマンドを利用しましょう。
AutoCADのブロックを削除する方法
不要なブロックデータを削除する場合は「PURGE」コマンドを利用します。
ここでは参考として、以下の「二重丸ブロック」というものを削除してみます。
まずは、コマンドウィンドウに「PURGE」と入力してください。次のウィンドウが起動します。
この中から「ブロック>二重丸ブロック」にチェックを入れて、ウィンドウの下側に表示される「チェックマークが付いた項目を名前削除」をクリックしましょう。
すると、コマンドウィンドウに以下の記述が表示されます。
最後にブロック挿入画面を確認しましょう。
以下の写真のようにブロックが削除されています。
AutoCADのブロック作成・削除・解除に役立つコマンド
AutoCADでブロックの作成・削除といった作業を効率よく行いたいのなら、以下に示すコマンドを利用するのが便利です。
コマンド入力 | 省略コマンド | 内容 |
BLOCK | B | 選択したオブジェクトからブロック定義を作成する |
DIVIDE | DIV | オブジェクトの長さまたは周長に沿って、点オブジェクトまたはブロックを等間隔に配置する |
INSERT | I | ブロックまたは図面を、現在の図面に挿入する |
PURGE | PU | 使用していないブロック定義や画層などの項目を図面から削除する |
WBLOCK | W | オブジェクト・ブロックを新しい図面ファイルに書き出す |
EXPLODE | X | オブジェクト要素を分解する |
中でも「BLOCK(ブロック作成)」「INSERT(ブロック挿入)」「PURGE(ブロック削除)」は、図面作成中によく利用するコマンドです。省略コマンドで短く指示することもできるため、ぜひ活用してみてください。
また、ブロックの作成や削除といったコマンドだけでなく、ほかのコマンドにも興味をお持ちなら以下の記事がおすすめです。作図や編集など、用途別のコマンドを表で詳しくまとめています。
AutoCADブロックの操作ポイント
AutoCADのブロック削除だけでなく、ブロックの作成や編集方法を知りたい方もいるはずです。
それぞれ画像付きで準備方法をまとめているので、業務活用の参考にしてみてください。
ブロックの作成方法
まずはブロックにしたい図形を準備してください。
ここでは「二重丸ブロック」をつくるために、上記の図形を準備しました。
次に「ホーム>ブロック>作成」を選択して以下のブロック定義ウィンドウを開きます。
このウィンドウでは、ブロックを取り扱う設定を決めていきます。
すべての設定が完了したら「OK」ボタンをクリックしてください。
最後に「どこを基点にするのか」「どの図形をブロックにしたいか」の選択画面が表示されます。作成しておいた二重丸ブロックをすべて選択したらEnterを押してください。
すると「ホーム>ブロック>ブロック挿入」に二重丸ブロックの画像が表示されます。
ブロックの編集
作成・登録したブロックは、後から編集できます。
まずは「ホーム>ブロック>ブロックエディタ」をクリックしてください。
すると上記のウィンドウが表示されます。
ここでは「二重丸ブロック」を選択して「OK」を押してください。
画面が切り替わり、ブロックエディタの画面が表示されます。
このエディタ画面上では、次のような方法でブロックの編集を行えます。
- 作図項目の追加
- ブロックテーブルの追加
- 属性定義の再設定
登録したブロックを自由に編集できます。既存のブロックに新たな要素を追加したい、パターンを準備したいとお考えなら、ぜひブロックの編集を行ってみてください。
AutoCADブロックのエラーチェック
最後にAutoCADのブロック削除のエラーチェックとして、よくある疑問や悩みを3項目に分けて整理しました。自分の悩みに当てはまる項目があるのなら、ぜひ内容をチェックしてみてください。
- ブロック定義を削除できない
- ブロックの名前を削除できない
- ブロック・画層を削除できない
ブロック定義を削除できない
ブロック定義を削除できないのは、図面上に特定のブロックを使用しているのが原因です。
もし削除したいブロックを図面に使っているのなら、図面上のブロックを削除するか、ブロックデータの要素を「分解」して図形データにしてください。
その後に「PURGE」コマンドを使ってブロック定義を削除すれば、目的のブロックを削除できます。
ブロックの名前を削除できない
ブロックの名称を削除したい・変更したいのなら、ブロックエディタを利用するのがおすすめです。「ブロックエディタ>パラメータ定義>属性定義」から自由にブロックの名前を変更・削除できます。
ブロック・画層を削除できない
画層を丸ごと削除したい場合、その画層の中にブロックデータが入っていると削除できないケースがあります。もしブロックデータを使っている画層を削除する場合には、事前にブロックデータを削除しておく、もしくはブロックデータを分解しておくのがおすすめです。
AutoCADのブロック削除についてのまとめ
今回はAutoCADでよく用いる「ブロック機能」の削除方法を紹介しました。
データ容量を削除できるほか、データを流用できる便利な機能であるため、数多くのブロックを登録している人も多いはずです。
もしブロックが削除できないのなら、まずは図面内で使用していることが原因だと疑いましょう。図面内のブロック削除、分解を行えばすぐにブロックを削除できます。
また、AutoCADのブロック削除を含めて、便利な機能を学びたい方も多いでしょう。
それならまずはAutoCAのセミナーを受講して、AutoCADの機能を学んでみてはいかがでしょうか。高品質なAutoCADセミナーが豊富に提供されているので、ぜひセミナーをリサーチしてみてください。