立体的な図面を書くことができる3DCADは、非常に多くの種類があります。その中でも建設と土木の分野に特化しているのが、TREND-COREです。実際に、TREND-COREを導入している企業は数多くあります。
今回はそのTREND-COREについて、主な機能や基本的な使い方などを解説していきます。
建設や土木をサポートするTREND-CORE
TREND-COREとは、福井コンピュータ株式会社が提供する3DCADソフトです。買い切りタイプのソフトで、一度購入すれば継続的な費用の支払いは必要ありません。
また、必要に応じて、オプションで機能を追加できます。建設工事と土木工事に特化しているのが特徴で、設計から完成に至るまで、全面的な工事のサポートに使えます。自動化機能も豊富であり、従来は人が作業をするような部分をTREND-COREに任せれば、効率的な作業を実現できるでしょう。
TREND-COREの概要
TREND-COREの全体的な概要はこちらになります。
価格 | 要見積もりだが大体660,000円〜 |
無料体験版 | あり |
主な機能 | BIM/CIM |
VR | 対応 |
TREND-COREを使ってできること
TREND-COREを使用すると、できることが数多くあります。その中でも、重要度が高いものをいくつかご紹介します。
4D施工ステップによる工事手順の見える化
TREND-COREでは、3Dモデルに時間の情報を追加した4D施工ステップを作ることができます。その4D施工ステップによって、施工手順の見える化を実現可能です。
時間が異なる施工ステップごとに比較をしたり、施工ステップを連続再生して、工事の流れを把握したりすることが容易になります。視覚的にわかりやすいモデルを作ることで、専門的な知識を持たない人にも、工事内容を理解してもらいやすくなるでしょう。よって、工事に関する住民説明会などにも活用できます。
工事現場における危険なエリアの見える化
工事現場では、稼働している重機の周囲は危険なエリアです。また、電線の周囲など、工事を行う際に触れてはいけないスペースもあります。そのような重機の可動範囲や電線の安全離隔距離などを半透明な立体モデルで表示可能です。危険なエリアの把握が容易で、そのエリアを考慮した工事計画を立てられるでしょう。
BIM/CIMやi-Constructionに対応したデータの作成
国から請け負う工事の中には、計画段階から3Dモデルを導入する、BIM/CIMに対応していることが落札条件のものがあります。TREND-COREは、そのBIM/CIMに対応したデータの作成が可能です。そのため、使い方次第では落札できる工事の種類が増えるでしょう。
また、国土交通省はi-Constructionを推進しています。土木工事を中心に、生産性向上のためのICT技術の導入を行うプロジェクトです。TREND-COREは、i-Constructionのデータ作成にも対応しています。
その他BIM/CIM系のソフトに関しては下記記事で解説しています。
工事に関する情報の管理
TREND-COREでは、図面や写真などの工事に関する書類をまとめて管理することができます。データの属性は自由に変更できるため、使用環境に応じた管理も難しくはありません。そして、3Dモデルには、URLのリンクを登録できます。管理するデータに対しては、検索機能が有効です。
よって、データの量が膨大になったとしても、任意のデータは容易に見つけられます。さらに、オフィスソフトなど外部システムとの連携も可能なので、柔軟な管理体制を実現できるでしょう。
TREND-COREの代表的な機能
TREND-COREには、非常に数多くの機能があります。その中でも、代表的なものを確認していきましょう。
3Dモデリングとレンダリング
TREND-COREの代表的な機能は、3Dモデルの作成です。発注図があれば、それを取り込むことで手軽に3Dモデリングを行えます。土木工事の場合、平面図と横断図を組み合わせるという使い方をすれば、より精度の高い3Dモデルを作れるでしょう。建築工事を行う際も同様に、平面図と正面図、側面図を配置するだけで、3Dモデルを作成可能です。
図面に記載された文字や数字も、そのままデータとして取り込めます。そのため、モデリング後の入力が必要なく、ヒューマンエラーによる入力ミスの心配もありません。そして、完成した3Dモデルをレンダリングし、色付きの画像として表示させられる機能も備わっています。
土木工事計画のシミュレーション
TREND-COREには、作成した3Dモデルを使用し、土木工事のシミュレーションを行える機能も備わっています。線形はマウスによって簡単に調整できるため、様々なシチュエーションを想定した検討が可能です。TREND-COREで事前にシミュレーションしておくと、より効率的かつ安全性の高い工事を実現できるでしょう。盛土量や切土量などは、シミュレーションの状況に応じて、TREND-COREが自動で算出してくれます。
土木工事現場でのシミュレーション
TREND-COREには、工事の現場単位でシミュレーションを行える機能もあります。実際に3Dモデルの重機や足場を配置して、工事現場の見える化を実現できる機能です。そして、作成したデータは動画などのファイル形式で出力できるため、情報の共有にも使えます。
シミュレーション用の3D部品は、あらかじめ用意されているため、新しく作成する必要はありません。3D部品は約2,500点あり、ダンプなどの定番重機だけでなく、特殊な重機や仮設材も用意されています。よって、幅広い工事のシミュレーションを、手軽に行えるでしょう。重機の種類によっては、実物のスペックに応じてアニメーションで動かせるため、より現実的な状況把握が可能です。
VRを活用した現場確認
TREND-COREには、VR用の画像を出力できる機能もあります。通常、作成した3Dモデルは俯瞰視点で見るのが基本ですが、VRを活用すれば視点を変えて見ることも可能です。VR用のパノラマ画像をスマートフォンに送信し、市販のVRゴーグルに取り付けてください。そうすると、実際に工事現場にいる人の視点で、3Dモデルの確認ができます。
VRが何か分からない方はこちらの記事も参考にしてください。
TREND-COREの基本的な使用方法
それでは、TREND-COREの基本的な使い方を、状況ごとに解説していきます。
3Dモデルの作成
TREND-COREで3Dモデルを作る際には、ベースの上に部品を配置する形となります。まずベースとなる地盤を配置し、勾配や高さなどを設定しましょう。その地盤の素材を選択すれば、ベースは完成です。後は作業員やショベルなどの3D部品を選択して、任意の場所に配置していきます。
発注図を用いた3Dモデリング
TREND-COREでは、発注図を読み込ませて3Dモデルを作ることも可能です。その場合はまず、発注図を読み込むところから始めます。図面は指定した縮尺通りに読み込まれ、枠として表示されます。それを元に、道路や側溝、ガードレールなどの3D部品を配置していく形です。発注図が基準となるため、複雑な図面の作成も難しくはありません。
3D部品の作成
あらかじめ用意されている3D部品の中に、使いたいものがなかった場合、自ら作成することも可能です。そのためには、オブジェクト作成機能を呼び出し、図形を配置します。TREND-COREには、様々な形をしたブロックが用意されているので、それらを組み合わせて部品を作っていきましょう。部品の形状が完成した後は、素材を選択して、登録を行います。そうすれば、3Dモデリングで自由に使用可能です。
3Dアニメーションの作成
説明会などで使用する3Dアニメーションを作成する場合は、まず完成した状態のモデルを作成します。そして、使用している3D素材を、レイヤーごとに分けていきます。土台は着工前と完成後のどちらにも分類させ、道路や側溝などは、完成後のレイヤに分けるといった形です。
そうすることで、レイヤーごとの表示で施工前と完成状態を切り替えられるようになります。その後、TREND-COREのシーン撮影機能を用い、異なるレイヤを並べると、施工前から完成に移り変わるアニメーションができあがります。レイヤーを使い分けると、施工途中をアニメーションに組み込むことも可能です。
土木建築で強みを発揮できるTREND-CORE
数ある3DCADソフトの中でも、TREND-COREには、土木建設に特化した機能を数多く備わっています。そのため、スムーズな工事を実現しやすいでしょう。また、TREND-COREによって、安全な工事実現も不可能ではありません。したがって、土木建設に関する様々な課題を解決したいのであれば、TREND-COREの導入を考えてみると良いでしょう。