Autodesk社から提供されている景観検討や概略設計に利用できる「InfraWorks」を導入し、これから使い方を学習し始めるという方もいるでしょう。しかし、初めて利用するため使い方がわからないとお悩みの人もいるはずです。
そこでこの記事では、InfraWorksの使い方をわかりやすくまとめました。
地形・点群データの読み込み方や機能の使い方も解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。
InfraWorksでできること
InfraWorksは、Autodesk社が提供しているBIMソフトのデータを反映し、景観検討や概略設計に活用できるソフトウェアです。参考として以下に、InfraWorksでできることを整理しました。
- 他BIMソフトで作成したデータをひとつの空間に反映
- 道路・橋梁の概略設計
- 交通シミュレーション
- 造成計画
3Dモデルを活用して、構造物や地形の見栄えを変更できることはもちろん、搭載されている機能を使って造成計画や橋梁・道路の概略設計を実施できます。また、景観やデザインに優れたファーニチャ(オブジェクト)も利用できるため、リアリティのある3D空間を作成できるのが魅力です。
またInfraWorksの使い方を知る前に、ソフトウェアの概要を知りたい方は以下の記事をチェックしてみてください。
InfraWorksの基本的な使い方
まずはInfraWorksには「管理」「作成」「解析」「提示・共有」という4項目の基本機能が搭載されています。各機能の用途や具体的な使い方を解説しているので、ソフトの全体像をイメージできるようになりましょう。
管理の使い方
InfraWorksの管理機能は、ソフト内のデータを設定するための機能です。
例えば次のような使い方ができます。
- 新しいデータを読み込む
- 既存のデータの表示・非表示を変更する
- 点群データを反映する(出力する)
なかでも頻繁に利用するのが「コンテンツ>データソース」の項目です。
3Dモデルの挿入・管理はすべてこの機能で実施しなければなりません。
赤枠の項目から自由に3Dモデルやデータを読み込めるので、実際にInfraWorksに触れてみてください。
作成の使い方
InfraWorksの作成機能を使えば、次のようなモデルを作成するといった使い方が可能です。
- 道路
- 橋梁
- 河川や排水管
- 装飾
参考として、地形モデル上に道路を反映してみます。
まずは「交通機関>コンポーネント道路」を選択し、モデル空間上で起点・終点をクリックし、Enterキーを押してみてください。すると、以下のモデルが表示されました。
モデルが反映される際には、設置した高さに合わせて自動で切土・盛土が反映されます。
勾配を自身で設定できるほか、道路の種類や幅、車道・歩道といった幅員構成などもカスタマイズできるので、ぜひInfraWorksの使い方を試してみてください。
また、作成機能のなかでもビジュアル面を強化したい場合には「環境>都市ファーニチャ」の使い方を覚えておくのがおすすめです。都市ファーニチャには、100種類を超えるオブジェクトが用意されており、自動車や樹木などを次のように反映できます。
ほかにも人物や簡単な構造物なども用意してあるので、3Dモデルのクオリティを上げるためにInfraWorksの「作成」の使い方を覚えてみてください。
解析の使い方
InfraWorksの解析の項目には、次のような概略設計用のシミュレーション機能が搭載されています。
- 縦断線形の最適化
- コリドーの最適化
- 交通シミュレーション
- 橋桁の解析
- 流域の検討
例えば、InfraWorks上で橋梁の構造モデルを反映したら、橋桁の応力計算が可能です。
おおよその安全性チェックとして利用できるため、橋梁設計を実施する際には、使い方を覚えておくとよいでしょう。
また、道路設計を実施する際に役立つのが、InfraWorksの交通シミュレーションです。
道路の交通量や幅員の条件などを設定して、うまく自動車がはけるのかチェックする使い方ができます。道路設計が現実的なのか確認したいなら、交通シミュレーションを活用してみてください。
提示・共有の使い方
InfraWorksの提示・共有の機能では、アニメーションの作成やデータ出力が可能です。
例えば「共有>3Dモデルファイルに書き出し」の項目を活用すれば、InfraWorksの選択範囲を3Dモデルの状態で出力できます。他BIMソフトでも利用できるデータ形式に変換できるので、ぜひ使い方を覚えておきましょう。
またアニメーション機能は、完成した3Dモデルを撮影し、発注者へのデータ共有するといった使い方が可能です。ウォークスルーなど人目線での動画撮影もできるので、ぜひInfraWorksの提示・共有を活用してみてください。
InfraWorksの画面操作の使い方
InfraWorksは、3Dモデルの画面を動かしながら検討を進めていくのが一般的です。
参考として、よく利用するInfraWorksの機能と使い方を整理しました。
画面の動かし方
InfraWorksの画面操作の使い方を下表にまとめました。
操作方法 | 使い方 |
左クリック | 画面選択・360度回転 |
右クリック | 画面の平行移動 |
マウスホイール(クリック) | Z座標移動 |
マウスホイール(スクロール) | 拡大・縮小 |
InfraWorksはマウス操作がメインであるため、ぜひ使い方を覚えておきましょう。
画面の計測や選択
InfraWorksでは、表示している3Dモデルの計測や選択の方法を変更できます。
まず上画像のものさしマークをクリックすれば、次のような方法で画面の計測が可能です。
- 2点距離の計測
- 選択した箇所の標高確認
- 勾配の計測
特にBIMソフトはZ座標の標高情報も扱うため、画面上で標高チェックをするといった使い方をします。続いて以下のマウスポインターのマークををクリックすると、画面選択の方法を変更できます。
立体・多角形など、使い方を変えながら画面選択ができるので、選択範囲の調整が必要な場合には、ぜひInfraWorksの使い方を覚えておきましょう。
InfraWorksのモデルビルダーの使い方
InfraWorksで概略設計を実施する際には「モデルビルダー」と呼ばれる地形データを手軽に反映できる機能を活用するのがおすすめです。参考として、モデルビルダーの使い方をまとめました。
モデルビルダーを起動する
モデルビルダーの機能は、InfraWorks起動時のホーム画面左側に表示されています。
まずは、上画像と同じ赤枠の項目をクリックしましょう。
地形データの取得反映を選択する
画面が切り替わると、地図情報が表示されます。
今回は参考として東京都にある東京駅周辺の地形データをモデル化します。
まずは上画像の手順で各項目を設定していきましょう。
参考として、以下に入力の条件をまとめました。
- モデル化したい範囲を選択ツールで囲む
- モデル名を任意で入力する
- モデル名下の説明欄も任意で入力する
- 座標系を設定する(東京の場合はJGD2011-09)
- すべての設定が完了したら「モデルを作成をクリック」する
画面を閉じてホーム画面に移動すると、モデルビルダーで取得した項目が追加されています。
なお、上記手順のなかで座標設定の使い方には注意が必要です。
日本全国で座標系の設定条件が違うほか、座標年なども適切なものを選択しなければなりません。
世界の座標系が搭載されているので、設定の使い方を間違えないように気を付けてください。
地形データを確認する
ホーム画面に反映されているデータをダブルクリックで読み込んだら、上画像のように航空写真や建物の高さなどが反映された地形データが表示されました。
なお、モデルビルダーで反映できるのは国土地理院が公開している5mメッシュもしくは10mメッシュの標高データです。詳細な地形モデルを読み込むためには、測量を実施して詳細なデータをInfraWorksに読み込ませることをおすすめします。
また、InfraWorks以外にもさまざまなBIMソフトが提供されています。
おすすめのBIMソフトや使い方について詳しく知りたい方は、以下の記事をチェックしてみてください。
Autodesk製品と連携させたInfraWorksの使い方
InfraWorksは、製品単体ではなくAutodesk社が提供しているBIMソフトと組み合わせることにより、効果を発揮します。参考として以下に、他製品と連携させたInfraWorksの使い方を整理しました。
連携できるBIMソフト | 使い方 |
Revit | Revitで作成した構造物をInfraWorksに読み込ませて、構造物や建築物の景観検討を実施する |
Civil3D | Civil3Dで作成した道路線形や土工モデルをInfraWorksに読み込ませて地形の変化を反映する |
Recap | Recapで処理した点群データをInfraWorksの地形データとして反映する |
例えば、Recapで作成した地形データをInfraWorksに読み込ませることで、ベースとなる地形を用意するといった使い方ができます。
また、地形上にRevitで作成した構造物や建築物のモデル、Civil3Dで作成した道路線形や土工のデータを反映することにより、地形に合わせた完成図を3Dでまとめられるのが魅力です。
さらにはAutodeskのBIMソフト以外にも、他社ソフトや標準データ形式の読み込みにも対応しています。BIM業務の最終的な完成図の作成にも役立つため、鳥瞰図作成が必要な場合には、ぜひInfraWorksと他ソフトを組み合わせてみてください。
あわせて上記のうち、構造物・建築物の3Dモデリングや設計に利用できる「Revit」の使い方を覚えたい方は、以下のセミナーがおすすめです。
InfraWorksの使い方についてまとめ
InfraWorksは景観検討や概略設計といった使い方に対応していることから、設計の最終的な完成図の作成などによく利用されています。
使い方もシンプルで、直感的にデータ挿入・反映が可能です。
ぜひ使い方を覚えて、モデルデータの統合に活用してみてください。