一言で業務用3Dスキャナーといっても、性能により色々と種類があり価格も異なります。その為どれを選んだら良いか迷ってしまうという人も少なくありません。そこで業務用3Dスキャナーについて、具体的にどういうものがあるのかを、選び方等も含めて詳しく見ていきます。
業務用の3Dスキャナーとは
3Dスキャナーとは、物体の表面をスキャンする事で3Dデータを得る事が出来る機械装置です。製品を分解したり解析し、その仕組みを明らかにしたり、検査等の目的で使用されています。
一般用と業務用があり、一般用は低価格のものが多いですがその分性能も抑えられています。一方業務用は高価格帯のものが多く、その分性能が優れているのが特徴です。
では具体的に業務用の3Dスキャナーは、具体的にどのような用途で使われる事が多いのかより詳しく見ていきます。
リバースエンジニアリングができる
リバースエンジニアリングとは、物体を3Dスキャンしてそれをデータ化し、そのデータを基にして新しい製品を作ったり改良したりするプロセスです。業務用3Dスキャナーは素早く、そして高精度で物体を3Dデータ化出来るので、電子機器や自動車、さらには飛行機まで小さなものから大きなものまで複雑な形や細かい部品を再現され、新製品の製造や改良に役立っています。
品質検査が可能
業務用3Dスキャナーは製品の製造工程で品質検査等に使われています。製品が設計図に沿ってきちんと作られているかをチェックし、不具合がないかを調べる事が可能です。特に建築材料や自動車や飛行機の部品等、ミスがあると大事故につながるような製品の分野では欠かせません。
映画やゲームのキャラクター制作・建築設計用もある
業務用3Dスキャナーは娯楽産業でも使われています。リアルな質感やディテールを再現出来るので、映画の特殊効果やゲームのキャラクターを作ったりする時に役立ちます。またVRやARアプリケーション開発でも、リアルなコンテンツを作る事が出来ます。
他にも建築設計や都市計画といった分野でも使われていて、3Dモデルと現実空間を連動させながら、デザインを検討したりする事でよりリアルなシミュレーションをする事が可能です。
業務用3Dスキャナーの種類
業務用3Dスキャナーには主にデスクトップ型やハンディ型、360度ボディ3Dスキャナー等の種類があり、それぞれ特徴があります。
デスクトップ型
デスクトップ型の3Dスキャナーは据え置きタイプです。スキャンしたい物体をターンテーブルに置き、回転させて360度スキャンする事が可能です。デスクトップ型の業務用3Dスキャナーは高性能のものが多く、高価格帯の製品が色々と揃っていて、特に小さい物体や、細かくて複雑な形をした物体を高精度でスキャンするのに向いています。
ハンディ型
ハンディ型の3Dスキャナーは小型で持ちやすいものが多く、実際に手に持ってスキャンしたい物体の周囲をグルっと回りながらスキャンするというタイプです。大きな物体をスキャンしたい時に向いています。
360度ボディ3Dスキャナー
360度ボディ3Dスキャナーは人間や動物の全身をスキャンすることが出来るタイプです。沢山のカメラやセンサーがあり、それが1つのシステムに組み込まれているので、素早く高精度のスキャンを行う事が出来ます。
人間の全身を3DCG化出来るので、ファッション関係の仕事では衣服をカスタマイズしたい時やフィッティングする時等によく使われています。また映画やゲーム制作時に、キャラクターやアニメーションを作成する時に使われる事も多いです。
おすすめの業務用3Dスキャナーを徹底比較!
3Dスキャナー名 | 価格 | 特徴 |
POP 2 3Dスキャナー | 9万円台 | 0.05mmの精度と0.15mmの解像度 |
EinScan-SP | 53.9万円 | 精度は0.05mm、解像度は0.17mm |
EinScan Pro HD | 130万円ほど | 精度は最大で0.04mm、解像度は0.2mm〜3mm |
Leica BLK360 | 264万円ほど | 操作が簡単で360度のレーザー距離計と高解像度 |
Artec Space Spider | 352万円ほど | 複雑な形や細いフォルムのものもスキャンできる |
Artec Leo | 450万円ほど | 精度は0.1mm、解像度は0.2mm |
おすすめの業務用3Dスキャナーがいくつかあるので、機能や性能、価格を含めて比較しながら見ていきます。まずは100万円以下で購入出来る業務用3Dスキャナーです。
POP 2 3Dスキャナー
Revopoint 3D社のPOP 2 3Dスキャナーは、最大で0.05mmの精度と0.15mmの解像度というプロレベルの品質ながら価格は10万円以下の9万円台で購入出来る業務用3Dスキャナーです。本体は200グラム以下と軽く、卓上とハンディタイプの両方で使えるというのが特徴です。
ソフトウェアも無料で日本語対応しており、WindowsやMac OSだけでなくAndroidやiOSにもインストール出来る為、使いやすくなっています。業務用3Dスキャナーを初めて購入する初心者には価格も含めておすすめの1台です。
EinScan-SP
日本3Dプリンター社のEinScan-SPはデスクトップ型の業務用3Dスキャナーです。白色光LEDを使用しており、フルカラーテクスチャにも対応しています。精度は0.05mm、解像度は0.17mmとなっており、フィギュアの一部や小さい部品をスキャンするのに向いています。価格は税別で49万8000円です。
次に100万円以上で購入可能なおすすめ業務用3Dスキャナーをいくつか見ていきます。100万円を超える型になるとどれも高性能ですが、決して安いものではないので自分の用途に合わせて選ぶという事が大切です。
EinScan Pro HD
日本3Dプリンター社のEinScan Pro HDはハンディタイプ型にもかかわらず、固定型スキャン並みの精度を持つ業務用3Dスキャナーです。暗い色の物体や金属等反射しやすい物体もスキャン出来るというのが特徴です。精度は最大で0.04mm、解像度は0.2mm〜3mmとかなりの高性能になっています。価格は税込みで130万9000円です。
Leica BLK360
Leica Geosystems社のLeica BLK360は、ボタンを押すだけで簡単に測量することが出来るのが特徴の業務用3Dスキャナーです。360度のレーザー距離計と高解像度のパノラマイメージングを使う事で空間の3Dデータ取得をする事が可能で、建築や測量等にも使う事が出来ます。
大きさもコンパクトでバッテリーが内蔵されており、データ送信も無線で行われるので、外で撮影する時にケーブルがいらないというのが魅力です。価格は263万6300円です。
Artec Space Spider
Artec 3D社のArtec Space Spiderは、青色LEDライトを搭載し温度安定化機能に優れていて、長時間スキャンする事が出来る業務用3Dスキャナーです。主にエンジニアやCADユーザーがターゲットで、複雑な形や細いフォルムのものもスキャンする事が出来ます。使用環境の温度変化の影響を受ける事が少ないので、長時間安定して作業したい人におすすめです。価格は税別で320万円です。
Artec Leo
Artec 3D社のArtec Leoは後処理機能を内蔵している次世代型の業務用3Dスキャナーです。PC機能やバッテリー、タッチパネルスクリーンそしてジャイロを内蔵した一体型の3Dスキャナーで、簡単に3Dデータを取る事が出来ます。
物体をスキャンしている時は、リアルタイムでタッチパネルスクリーン上に3Dモデルを表示出来、しかもそのデータを回転させて色々な角度から見ながら、撮り残しがないかも確認出来るのが特徴です。精度は0.1mm、解像度は0.2mmで、価格は450万円からとなっています。
業務用3Dスキャナーの選び方
業務用3Dスキャナーを選ぶ時は、どういう所を見ながら決めれば良いのかと言うと、いくつかポイントがあるので詳しく見ていきます。
用途で選ぶ
どんなに高性能の業務用3Dスキャナーを購入しても、自分の目的と合っていなければ持ち腐れとなってしまいます。そこでまずは自分がどういう目的で使うのかという事をはっきりさせるという事が重要です。
例えばリバースエンジニアリングや品質検査で使用を考えているのであれば、より高精度でデータが取れるような機種にすると良いです。映画製作やゲーム開発での使用を考えているならば、より質感やディテールを再現出来るフルカラーデータが取得可能な機種を選ぶようにしましょう。このように用途に合わせて選ぶ事で、こんなはずではなかったと後悔するリスクを減らす事が出来ます。
スキャンサイズで選ぶ
大きな物体や広範囲のスキャンデータが欲しい場合はハンディ型を選ぶと良いです。一方小さな部品や細かく複雑なディテールをスキャンしたい場合は、高精度でデータ取得が可能なデスクトップ型を選ぶようにしましょう。
精度で選ぶ
精度を優先して選ぶという方法も悪くありません。精度はデータの正確性や再現度に直結しているので、とにかくミスの許されないような部品のチェック等をする場合は、とにかく高精度のの製品を選ぶと良いです。
測定速度の速さで選ぶ
どんなに高性能でもスキャンするのに時間がかかっていては、作業効率も悪くなってしまいます。そこで測定速度にこだわってなるべく早いものを選ぶという方法も良いです。測定速度はカタログ等を見れば確認出来るので、速度が気になる人はチェックしてみると良いです。
測定範囲の広さで選ぶ
基本的に測定範囲が狭い機種でも取得したデータをつなぎ合わせていけば、大きなサイズの物体を測定する事は可能です。しかしデータをつなぎ合わせていく段階で誤差が生じてしまう事もある為、正確なデータを取得したいのであれば自分が測定したい物体にあった3Dスキャナーを選んでおくと安心です。
色が取得出来るかどうかで選ぶ
3Dスキャナーには物体の色情報も取得出来る機種があります。品質検査等で使う場合は、特に色は必要ありませんが、製品設計や仮想組み立てで使う場合は色があった方が良いです。その為製品設計や仮想組み立てで使用する事を考えている人は、色取得が出来る製品を選ぶようにしましょう。
アフターサポートがついているかどうかで選ぶ
業務用3Dスキャナーは100万円以上するものもあり、決して安い買い物ではありません。そこでアフターサポートが充実している製品を選んでおけば、故障した時も安心出来ます。
業務用以外の3Dスキャナーも合わせてよく検討したい人は下記記事も参考にしてください。
業務用3Dスキャナーはよく比較して導入しよう
業務用3Dスキャナーには色々な種類があり、価格も様々です。その為購入する場合は自分の用途を考えながら、精度や測定速度や測定範囲 色が取得出来るかやアフターサポート等をチェックして、特に優先したいものが優れているものを製品を選ぶという事が重要です。