facebook

【2024】金属3Dプリンターとは?選び方や価格相場

金属3Dプリンターは、金属を重ね合わせて立体物を造形する装置です。高い強度や耐久性を持ち、さまざまな産業分野での用途が広がっています。

今回は金属3Dプリンターの概要と主な造形方式、選び方や一般的な価格相場について解説します。

金属3Dプリンターとは

金属3Dプリンターとは

金属3Dプリンターとは、基となる3Dデータどおりに金属をレーザーや電子ビームで溶かして立体物を造形する装置です。
従来の金属加工では、金属を切削加工や鋳造加工する必要がありましたが、金属3Dプリンターでは、デジタルデータから直接金属部品を製造することができます。

使用できる材料は

  • アルミニウム
  • ステンレス鋼
  • チタン
  • マルエージング鋼

など多様な種類の金属で、微細なディテールや複雑な形状の部品、少量の部品でも効率的に製造できることが特徴です。

金属3Dプリンターは製造業や医療分野など幅広い分野で注目されています。製造業では、金属部品の製造コスト削減や新しい製品の開発、医療分野ではインプラントや義肢などの医療器具の製造に活用されています。

プラスチックを使用する樹脂3Dプリンターと比較するとまだ発展途上ですが、技術の進化により今後もさらなる発展が期待され、さまざまな分野に革新的な影響を与える可能性があります。金属3Dプリンターの発展が今後の未来を変える一つの鍵となるでしょう。

金属3Dプリンターの実際の挙動に関してはこちらの動画で確認できます。

通常の3Dプリンターとの違い

通常の3Dプリンターは、金属3Dプリンターとは違い基本的に樹脂だけを利用して積み重ねて立体を3Dプリントします。造形物が金属でなくても問題なければ、通常の3Dプリンターを導入しても良いでしょう。

事業で使う際に、金属のサンプルを作る必要があったり、金属で特定の形状の強度を知りたい場合は金属3Dプリンターの方が向いています。価格相場も変わるので、通常の3Dプリンターと合わせて検討してみると良いでしょう。

金属3Dプリンターの価格帯

金属3Dプリンターの値段は、機種や性能・造形サイズ・使用可能素材などによって大きく異なります。低価格帯では10万円前後から、高価格帯では数千万円から億単位までの金属3Dプリンターがあります。

低価格帯の金属3Dプリンターは主に小型のプリンターで、造形サイズや使用できる金属材料が限られています。しかし、初心者でも簡単に操作できるため、金属3Dプリンターを試してみたい方や少量の部品を作ってみたい方に適しています。

中価格帯の金属3Dプリンターは百万円から1千万円未満で、造形サイズが大きく、使用できる金属材料も豊富です。造形精度も高く、複雑な形状の部品も製造できるため、多くの企業で使用されています。

高価格帯の金属3Dプリンターは1千万円以上で、大きなサイズや多種多様な金属素材に対応し、高精度で高速な造形が可能です。最先端の技術を搭載しており、最高レベルの造形精度とパフォーマンスを実現しているため、大規模産業や研究開発、航空宇宙産業などの高度な金属部品の製造に使用されています。

必ずしも価格が高い方が良いとは言えませんが、事業の規模やどれくらいのクオリティで造形したいかによって選ぶと良いでしょう。

金属3Dプリンターの造形方式

金属3Dプリンターの造形方式

金属3Dプリンターにも造形方式があり、その造形の仕方によって作れる作品や形状が限られてきます。
金属3Dプリンターの造形方式は、現在次の4種類が主流となっています。

金属3Dプリンターの造形方式 特徴
パウダーヘッド方式 レーザーやビームで溶かした金属を層にして積み重ねる
熱溶解積層方式 金属にプラスチックを配合して溶かし積み重ねる
デポジション方式 金属粉末を吹き付けて溶かし固める
バインダージェット方式 金属粉末を薄い層に敷き詰めて接着剤で固定する

この4種類の造形方式を比べて、自社で作りたいものがどのような方式に合っているか確認してみましょう。それぞれ詳しく解説していきます。

パウダーヘッド方式

金属粉末を薄い層として敷き詰めたベッドの上にレーザーまたは電子ビームを照射し、局所的に溶かした金属粉末を層に積み重ねて造形する方法です。金属3Dプリンターの中で最も一般的で、さまざまな金属粉末を使用できるため、異なる金属の組み合わせや合金の造形が可能です。内部に空間や中空部分を持たせることが簡単で、軽量で強度の高い製品の製造に適しています。

熱溶解積層方式

熱溶解した金属粉末にプラスチックを配合した素材を積み重ね、立体物を造形する方法です。熱溶解積層方式は従来の樹脂3Dプリンターの造形方法と同じで、低コストで造形速度が速いことが特徴です。しかし、造形後にプラスチックを取り除くため炉で焼結する必要があることと、プラスチック流出による収縮を考慮して設計する必要があるという手間がかかります。

デポジション方式

金属粉末を吹き付けながらレーザービームを照射し、溶融・凝固させながら、立体物を造形する方法です。パウダーヘッド方式よりも早く造形できることが特徴で、部品のピンポイント補修や摩耗した部分の肉盛りに適しています。ただし、複雑な形状を作ることや、精度についてはパウダーヘッド方式よりも劣っています。

バインダージェット方式

金属粉末を非常に薄い層に敷き詰め、そこにバインダーと呼ばれる接着剤を使用して層を固定することを繰り返し造形する方法です。金属3Dプリンターの造形方法の中で最も新しい方法で、複雑な形状にも対応できることが特徴です。しかし、造形された部品はバインダーによって保持されているため、熱溶解積層方式と同様に焼結処理しなければなりません。処理速度が速く量産できるというメリットもあるため、さらなる改善が求められています。

金属3Dプリンターの最適な選び方

自社に合う金属3Dプリンターを選ぶには、最適な選び方を理解しておく必要があります。
金属3Dプリンターを選ぶ際には以下のポイントに注意して選ぶことが重要です。

金属3Dプリンターの用途

金属3Dプリンターは製造する部品の用途によって、選ぶべきプリンターが異なります。自動車部品や航空機部品などの高強度な部品を作りたい場合は高出力で精度の高いプリンターが必要ですが、趣味の範囲で使う場合は出力や精度にこだわる必要はありません。価格帯も幅広く、10万円前後から1000万円以上するものもあるため、用途に合わせて選ぶことが大切です。

金属3Dプリンターの造形サイズ

金属3Dプリンターの造形サイズは、数十ミリメートルから数メートルまでさまざまであるため、製造したい部品のサイズに合わせて選ぶ必要があります。目的のサイズに合わせて選ぶことで、予算の節約や設置場所の専有面積に大きく影響します。

金属3Dプリンターの精度

金属3Dプリンターの造形精度は、ミクロン単位からミリメートル単位までさまざまです。精密な部品や詳細なデザインを製造する場合は、高い精度を備えたプリンターを選択する必要があります。

造形したものをお客さんに届けられるほど精密なものにしたいのか、社内で使うサンプルだから大まかな造形でも構わないのかなど、精度によっても選ぶ金属3Dプリンターが変わります。

安い金属3Dプリンターは細部まで3Dプリントできず精度も大まかになりますが、高い金属3Dプリンターは精密で製品として売り出せるような精度で印刷することが可能です。

使用したい素材に対応しているか

金属3Dプリンターで使用できる主な金属材料には、先述した通りアルミニウム・チタン・ステンレス鋼・インコネル・コバルトクロム・ニッケル・マルエージング鋼などがあります。
使用したい金属材料が対応しているプリンターを選択することが大切なので、欲しい金属3Dプリンターを見つけたら使用できる素材をよく確認しておきましょう。

メーカー保証があるか

金属3Dプリンターは高価な装置です。万が一の故障に備えて、保証期間が長めの金属3Dプリンターを選択することをおすすめします。問題が生じた際に素早く対応するサポート体制が整っているかなど、長期的な安心感が持てることが重要です。
また、保証がなくてもサポートが充実しているメーカーはいるので、購入する前にメーカーのサポートをよく確認しましょう。

金属3Dプリンターの活用例

金属3Dプリンターは、従来の金属加工に比べて複雑な形状の部品を製造できるというメリットがあります。また、少量の部品でも効率的に製造することができるため、製造業や航空宇宙産業など、さまざまな分野で注目されています。

航空宇宙産業

航空宇宙産業のイメージ

航空宇宙産業では、航空機や衛星などの複雑な形状の部品を製造するために使用されています。従来の金属加工で製造された部品よりも軽量で強度が高いため、航空機や宇宙船のエンジン部品など、厳しい環境に耐える高性能な部品を製造しています。

医療分野

医療分野のイメージ

医療分野では、インプラントや外科手術用のカスタムツール・人工関節などが製造されています。個別の患者に合わせたカスタマイズが可能なため、治療の精度や効果を高めることができます。

自動車産業

自動車産業のイメージ

自動車産業においては、エンジンやコンポーネントを製造するために使用されています。複雑な形状や軽量化が求められる部品を1つのパーツとして作成できるため、製造の効率化や生産性向上はもちろん、車体の軽量化やデザインの自由度向上も実現しています。

これらの活用例はほんの一部ですが、今後さまざまな分野で活用されていくことが期待されています。

目的に合った金属3Dプリンターを選ぼう

革新的な製造技術を持つ金属3Dプリンターは、産業界や医療、航空宇宙など多岐にわたる分野で大きな影響を与えています。まだ発展途上の側面もありますが、将来的にさらなる普及が期待されています。購入時には用途や必要な素材、造形方法を慎重に検討し、価格や機能、精度などを比較して、ニーズに適した機種を選ぶことが大切です。

最新情報をチェックしよう!