Jw_CADは無料で使える2DCADソフトでありながら、便利な編集ツールを豊富に揃えている点が評価されています。この記事では、Jw_CADの基本的な操作方法でもある、線の太さの設定方法や、線の編集に関連して覚えておきたい、基本的な操作方法を紹介します。
Jw_CADの主な機能
Jw_CADはフリーの2DCADソフトですが、完全無料とはいえ有料ソフトに劣らない機能群を備えていることで高い評価を集め、プロの現場でも採用されている製品です。ここでは主なJw_CADの機能について、簡単に紹介します。
基本的な建築設計機能
Jw_CADは2DCADに限定されるものの、建築設計に特化した製品として開発されており、建築設計向けの2DCAD機能が充実している製品です。建築設計に不可欠な柱や壁の作成はもちろん、設備設計の配置検討にも対応しており、建物の図面を描きたいときには十分な活躍を期待できます。
柔軟なショートカットツール
Jw_CADの最大の特徴とも言えるのが、クロックメニューと呼ばれる優れたショートカット機能を備えている点です。これは時計盤を模したショートカットメニューで、ユーザーはマウス操作で時計盤を操作することで、感覚的かつ素早く登録しているツールを呼び出すことができます。
登録ショートカットツールは設定画面から自由に変更することができるので、自分にとって最適な配置を実現し、業務効率化を推進可能です。
多様なファイル形式との互換性
CAD製品には多くの種類がありますが、それぞれが実装している機能とは別に、対応しているファイル形式も異なるのが注意しておきたい点です。場合によっては異なるCADソフト間ではファイル形式の違いからデータの共有ができない場合もある一方、Jw_CADは複数の主要なファイル形式に対応しているため、互換性の面で安心して利用ができます。
Jw_CADが対応しているのはDWG、DXF、P21といった形式で、大抵のCADソフトはJw_CADとの併用に対応しています。
Jw_CADで線の太さを変えるシーン
Jw_CADの作図作業においてはとにかく線の描画操作を行うことが主な作業となりますが、同製品では線の太さを変えることも可能です。Jw_CADを使っていて線の太さを変える必要のあるシーンとしては、それぞれで役割を区別したい時が挙げられるでしょう。
例えば形状を表す線と寸法を表す線では、役割が全く異なるものの、図面が複雑化するとその見分けをつけることが難しくなってきます。そんなときに線の太さによって変化をつけることで、複雑化した図面でも線ごとの意味を取り違えてしまう心配はありません。
線の太さ設定と合わせて覚えておきたいJw_CADの基本操作方法
線の太さの設定方法を確認する前に、まずは以下の基本の操作方法について確認しておきましょう。以下の操作が行えないと、線の太さの変更やそれに関連する操作ができないためです。
線の描画方法
まずは、Jw_CADを使って線を描画する方法です。直線の描画は、左側のツールメニューにある「/」アイコンをクリックすることでツールを起動し、実行することができます。線を引く際にはまず図面をクリックし、直線の始点を確定させます。それからマウスを操作して線を引き、再度クリックすることで終点を確定させられます。
Jw_CADでは直線以外にも曲線や円を描画することも可能なので、図面の必要に応じて線の引き方を使い分けられるようになると良いでしょう。
線の消去方法
続いて、一度引いた線を消去する方法です。線の消去は「消去」ツールを選択することで実行することができます。ツールを選択したら消去したい線を左クリックします。すると線を引いた時と同様に始点と終点を確定させられるので、一回目のクリックで始点を、二回目のクリックで終点を設定しましょう。終点をクリックで確定させると、消去が実行されます。
Jw_CADにおける線の太さの種類
Jw_CADにおいて、線の太さは必要に応じて柔軟に変更することができますが、種類として分ける上では
- 細い線
- 太い線
- 極太の線
の3種類に分けることになります。
細線の使い方 | 隠れ線など |
太線の使い方 | 寸法線など |
極太線の使い方 | 外形線など |
もちろん、線の太さを細かく変えることで、これ以上の種類に分けることもできますが、問題となるのがそれぞれの線の把握のしやすさです。図面を閲覧する環境にもあまりに線の太さを細かく分けてしまうと、図面を見た人はもちろん、作成者も線ごとの比較ができず、結局分かりにくい図面を作成してしまうことにもなりかねません。
また、太さ以外にも線そのものの種類を複数使い分けることができます。Jw_CADで指定できるものとしては、
- 実線
- 破線
- 一点鎖線
- 二点鎖線
の4種類があります。線の太さ以外で区別をはっきりさせたい時は、通常の実線に加えて、他の種類の線をうまく使い分けるアプローチも検討しましょう。
Jw_CADで線の太さを変える方法
続いて、Jw_CADを使って実際に線の太さを変える方法を確認します。Jw_CADでは、線の太さを図面の縮尺や閲覧環境を問わずすぐに見分けられるよう、自動的に線の色の違いがそれぞれの太さに割り当てられる仕組みが採用されています。これを「線色」といい、上で紹介した線の種類(線種)と合わせて「線属性」という要素として一括管理されているのが特徴です。
そのため、線の太さを変えたい場合にはJw_CADにおける画面左側の「線属性」をクリックし、そこでポップアップするバーから太さを変更することができます。
デフォルトだと、線の色の種類は8種類に分けられており、線色1が最も細い線、線色8が最も太い線と定義されています。これとは別途、補助線と呼ばれるものをJw_CADでは設定することができますが、補助線については図面を印刷する際、自動的に紙面から削除されるので注意しておきましょう。
また、線色を使って色分けした線は、印刷することでそれぞれの色ごとに適用された太さの線に置き換わり、紙面上では色ではなく線の太さによって図面が作成されます。
基本的にはこれら8種類の太さの線を使って図面を描くことになるので、どの線にどの太さを適用するか、あらかじめ決めた上で運用することが大切です。
Jw_CADで細かく線の太さを変える方法
線属性の設定を変更することで太さを変更する場合、最大でも8種類の線の太さからしか選ぶことができませんが、初期設定を変更することで、線の細さをミリ単位で変更することも可能です。
線の太さをミリ単位で変更したい場合は「設定」メニューから「基本設定」を選び「jw_win」のダイアログを表示します。するとその中に「色・画面」というタブがあるのでこれを選択し、プリンタで図面を出力する際の線の太さを変更できます。
選択すると現れるダイアログの右下には「線幅を1/100mm単位とする」というチェックボックスが現れるので、ここにチェックを入れると、好みに応じて線の太さを変更できます。
基本的にはデフォルトの8種類の線の太さを使っておけば大きな支障が出ることはないものの、どうしても線が見づらいなどの問題がある場合、この方法で線の太さを調整しましょう。
Jw_CADで線の太さを部分ごとに変える方法
基本的にJw_CADを使って線の太さを変更する場合、一つの直線につき一つの太さを適用するものですが、機能としては線の一部の太さを変更するような使い方もできます。
線の一部分だけ太さを変更すには、まずいつも通り直線を引いた後、次に使用するのが「消去」ツールです。コントロールバーの「切断感覚」は「0」にした上で「節間消し」のチェックボックスも空白にしておきましょう。
続いて、消去ツールの部分消し機能を活用します。線を太くしたい部分の始点を右クリックして、終点として同じ部分を右クリックしましょう。次に線を太くしたい部分の終点を「始点」として右クリックし、再び同じ部分を右クリックします。
これで、線を太くしたい部分が元々あった線から独立した状態になりました。
線を独立させた後は、画面左部分のツールバーから線属性ダイアログを展開します。そしてどれくらい太くしたいのかをダイアログボックス上で選択したらOKをクリックし、「範囲」コマンドを選択しましょう。
先ほど独立させた、太くしたい線を範囲コマンドを使って全て選択し、属性変更を選びます。すると属性変更ダイアログが展開されるので「<線幅>変更」のチェックボックスにチェックを入れたら、OKをクリックしましょう。
これで、選択範囲の線の太さの変更が適用されているはずです。
Jw_CADにおけるおすすめの線の太さは?
Jw_CADでは線の太さを柔軟に設定変更できるものの、やたらと色々な線の太さを使い分けてしまうと、かえって図面が見づらくなったり、ケアレスミスが生まれてしまう要因となったりしてしまいます。
そのため、線の太さは上でも紹介した細い線と太い線、そして極太の線の3種類を使い分け、必要に応じてより細かな線の太さを別途定義することをおすすめします。線色1、線色4、線色8を使い分けるようなイメージです。
Jw_CADの線の太さ設定についてのまとめ
この記事では、Jw_CADを使って線の太さ設定を変更するための方法や、関連機能の使い方について解説しました。線の太さを変更する操作は、複雑な図面を作成する場合に必ず行う必要のある操作であるため、早い段階で覚えておきたいところです。
また、線の太さをJw_CADでは細かく設定することができるものの、不必要に線の太さを多様化させてしまうと、かえって図面を混乱させてしまいかねません。線の太さを変更する際にはあらかじめ3種類ほどに分類し、見やすさも確保した上で運用することが大切です。