CADソフトにも複数の種類がありますが、BricsCADはそのパフォーマンスの高さからファンの多い製品として知られています。BricsCADは2Dはもちろん、3Dモデリングにおいても高い性能を発揮し、プロの現場でも活躍している製品です。
この記事では、そんなBricsCADの3D機能に注目しながら、どのようなツールを備えているのか、どうやって3Dモデリングを学べば良いのかなどについて、解説します。
BricsCADについて
BricsCADは、ベルギーに本社を置くBricsys社が販売しているCADソフトです。欧米を中心に、世界で広く利用されているポピュラーな2D・3Dの両方に対応するソフトで、そんな汎用性の高さが人気の背景にあります。
BricsCADの人気は日本でも例外ではなく、関連書籍はもちろん、BricsCADのローカライズも進んでおり、英語がわからないというユーザーでも安心して使いこなすことが可能です。
BricsCADの機能については不定期にアップデートで改善・追加が行われており、常に最新のテクノロジーを体験できる点も魅力の一つです。新規でBricsCADを使い始めるというユーザーが最新機能を使えるのはもちろん、これまでBricsCADを使い続けたユーザーも、無料のアップデートでハイテクを現場に導入することができます。
BricsCADの強み
BricsCADが高い評価を受けている理由として知っておきたい強みとしては、
- 豊富なチュートリアルの存在
- BIMにも対応できる拡張性の高さ
- 専門性の高い3Dモデリング機能
といったものが挙げられます。
まず、BricsCADは初めてCADソフトを触るという人でもすぐに使いこなせるよう、公式のチュートリアルが充実しているのがポイントです。テキストや画像、映像を使って体系的に技術を学ぶとともに、ソフトにもツール利用のためのガイドラインが標準装備されているため、いつでも不明点を解決できるでしょう。
BricsCAD単体ではBIM運用はできませんが、すでにBIMソフトなどが手元にある場合、それらのソフトと連携してBricsCADを運用することも可能です。BricsCAD上でBIMモデルを読み込み、作業を行うような使い方ができるプランが用意されているので、BIM利用の可能性をさらに押し広げる上でも役に立つでしょう。
また、BricsCADはBricsCAD Mechanicalと呼ばれる、機械設計や設備設計に対応しているプランが存在します。通常のBricsCADではツール面で不足を感じていて、これらの領域での高度なCAD運用を検討している場合、プランの変更によって専門性の高い作業にも対処できるようになります。
これらの強みをBricsCADでは使い分け、高度な3Dモデリングを実現できることが魅力です。
3D機能が使えるBricsCADのプラン
BricsCADはBricsCAD Liteと呼ばれる、2D機能に限定した安価なプランも存在しますが、基本的には3D機能も使えるBricsCAD Pro以上の活用がおすすめです。3D機能が使えるプランを、以下の表でまとめました。
価格(年額) | 価格(無期限) | 特徴 | |
BricsCAD Pro | ¥79,200/年 | ¥135,980 | 3D機能を搭載した標準的なBricsCAD |
BricsCAD Mechanical | ¥148,000/年 | ¥253,500 | 機械設計関連の機能を強化した上位版のBricsCAD |
BricsCAD BIM | ¥154,000/年 | ¥266,500 | BIM運用やAI機能が実装された上位版のBricsCAD |
BricsCAD Ultimate | ¥170,000/年 | ¥293,800 | BricsCAD MechanicalとBricsCAD BIMの機能を併せ持ったハイエンドのBricsCAD |
BricsCAD Proは、BricsCADで3D機能を使える最も標準的なプランです。基本的なツールはBricsCAD Proで賄うことができるので、まずはこのプランを契約して、使い方を学ぶと良いでしょう。
機械設計や設備設計の専門的なツールの必要性が出てきた際には、BricsCAD Mechanicalの利用をおすすめします。こちらは通常のBricsCAD Proにはない専用の機能が拡張ツールとして実装されているので、痒い所に手が届く、便利なプランとなっています。
BricsCAD BIMは、その名の通りBIMとの互換性や専用ツールを実装した上位版のBricsCADです。Revitなどのツールをすでに導入していて、BIMモデルが使えるCADソフトを探している場合、BricsCAD BIMの導入を検討してみましょう。
BricsCAD MechanicalとBricsCAD BIMの両方を使用したい方におすすめなのが、BricsCAD Ultimateです。価格はすべてのプランの中で最も高いハイエンドモデルですが、BricsCAD MechanicalとBricsCAD BIMを両方契約するよりは安価であるため、場合によってはお世話になるケースも少なくないでしょう。
これらのプランを上手に使い分けることが、BricsCAD運用のポイントでもあります。
3D業務の生産性を高めるBricsCAD Shapeとは
出典:公式サイト
BricsCADには上述したプランのほかに、ビューアソフトであるBricsCAD Shapeと呼ばれる製品があります。BricsCAD Shapeは基本無料で使用ができる、DWG形式のファイルの展開に対応しているビュー専門ソフトで、BricsCADを使って作成した3Dモデルの閲覧、そして簡単な編集に対応しています。
BricsCADはもちろんですが、Trimble社が展開する3DモデリングソフトのSketchUpとの互換性も備えており、多様なソフトを使用している現場でも活躍できるのが強みです。また、BricsCAD Shapeはビューアソフトという触れ込みではある一方、BIMにも対応している強力なモデリングツールを備えています。オフラインでの作業に加え、クラウドを介したオンライン作業にも対応しているため、どんな環境でも柔軟にデータの編集を行えるのが特徴です。
BricsCAD独自のツール群もある程度継承されており、高度な3Dモデリング運用を推進する上で欠かせない製品となるでしょう。
BricsCADの主な3Dモデリング機能
BricsCADには、多様な3Dモデリング機能が揃っています。ここでは同製品ならではの特徴的なモデリング機能を、ピックアップして紹介します。
ソリッド3Dモデリング・レンダリング
BricsCADの代表的な機能となるのが、ソリッド3Dモデリングです。ダイレクトモデリングを採用しており、元の設計意匠とのすり合わせにかかるコストを最小限に抑えながら、理想的なモデルの作成が可能なツールやインターフェースを備えています。
プッシュ・プル機能などを使った感覚的な操作で高度なモデルも短期間で生成することができ、さらには高品質なレンダリングも実現することにより、設計面での整合性に加え、ビジュアル面でのフォトリアルでインパクトの大きいモデルを作り上げられるツールです。
点群データ活用
BricsCADの3Dモデリングが優れている理由の一つに、点群データを.利用できることが挙げられます。レーザースキャナーなどを使用してスキャンしたデータをBricsCADに取り組むことで、3Dモデルかされていなかった立体構造物を3Dモデル化する上で役に立つ機能です。
建設設計はもちろん、土木設計においても活躍の機会が多く、インフラ領域の業務が発生する場合も安心できます。
AIアシスト
BricsCADは手動での3Dモデリングに加え、AIを使ったモデリング機能も備えているのが特徴です。AIツールの種類も非常に豊富で、モデリング作業中に使用すべきコマンドの提案を自動で行ったり、3Dモデルを診断し、改善が必要な部分などを評価してもらったりが可能です。
手動では時間や人手が必要だった業務も、AIアシストを活用すれば高い生産性向上を実現できるでしょう。
BricsCADの3Dモデリング技術を高める方法
このように、BricsCADの3Dモデリング機能は非常に多様で、それぞれの機能の使い方を一気に覚えることは難しいものです。最後に、BricsCADの3Dモデリングに関するスキルを身につけるための手法について、解説します。
公式チュートリアルを活用する
上でも紹介しましたが、まず参考にしたいのが公式チュートリアルです。基本的な操作であればこれで賄うことができるため、BricsCADを使い始めの頃は一通りチュートリアルをさらっておくことをおすすめします。
関連書籍を活用する
いちいちわからないことを調べるのが面倒に感じる場合は、BricsCAD関連の書籍を一冊手元に置いておくことが有効です。操作方法が簡潔にまとめられているだけでなく、手元に置いておくことですぐにわからないことを調べられる環境の構築に役立つからです。
YouTubeを利用する
最新のBricsCADの機能やあまり知られていないテクニックなどを学びたい場合には、YouTubeを参考にしてみるのも良いでしょう。動画でわかりやすく使い方を教えてくれるチャンネルが豊富に用意されており、最新機能の紹介がどこよりも早く行われていることもあります。
これら3つの学習方法をバランスよく取り入れることで、効果的なスキルアップが独学で実現します。
BricsCADの3Dモデリングまとめ
この記事では、BricsCADの3Dモデリング機能についての概要を紹介しました。BricsCADは高度な機能を多数揃えている便利なソフトで、その使い方を身につけるのにもある程度時間がかかります。
まずは基本的な使い方を公式チュートリアルなどから学び、徐々にステップアップしていくことを目指すと良いでしょう。