点群データの読み込みや編集などができる「ReCap」について、使い方がわからないとお悩みの人も多いでしょう。また、自分が操作している使い方の手順が正しいのか気になっている人もいるはずです。
そこでこの記事では、ReCapの使い方をわかりやすくまとめました。
点群の読み込みから編集方法まで、使い方のノウハウを網羅的に解説しているので、ReCapを効率よく操作する参考にしてみてください。
ReCapとは
ReCapとは、Autodesk社が提供しているエンジニアリング向けのソフトウェアであり、点群の読み込みや編集、データ変換という目的で使用できるBIMソフトです。
例えば、測量業務で取得した点群データを読み込み、不要な範囲をReCapで調整し、キレイな点群データとして出力する際などに用います。
またReCapでは写真から3Dデータを起こすといった使い方もでき、対象物をさまざまな角度から撮影した写真データを読み込ませることで、メッシュを生成できる便利な使い方に対応しています。
ソフトウェアの位置付けとしては、設計検討の前準備というイメージであり、現況地形や物体をBIM業務で活用する際に用いるのが特徴です。BIM業務の一連の作業で欠かせないソフトウェアですので、ぜひ本記事の使い方を業務に役立ててください。
ReCapの使い方に合わせて、詳しい概要を知りたい方は、以下の記事がおすすめです。
ReCapの基本的な使い方
ReCapを操作するうえで、まずは基本的な使い方を3つ紹介します。
操作の部分から使い方がわからず困っているという方は、ぜひ参考にしてみてください。
プロジェクトの管理
まずReCapには、プロジェクト管理という機能が用意されています。
参考として以下に、プロジェクト管理に関わる機能を整理しました。
- ファイル読み込み
- ファイル保存
- データの間引き
- 読み込み・出力
なかでも編集の際によく利用するのがデータの間引きです。
数万点を超える膨大な点群データを扱うことから、点群の密度によって容量が変化します。
間引きの機能を使えば、点群の数を大幅に削減できるので、処理が重い場合には機能を使ってみてください。
点群データの表示方法の変更
読み込んだ点群データの表示方法を変更したい場合には、上から2番目の項目にある表示変更の機能を利用します。例えば次のような変更が可能です。
- 点群の色
- 照明(太陽光)のあたり方
- 点群の大きさ
もし点群の色を標高ごとにヒートマップ化する場合には「表示設定>カラーモード>高度」という使い方で表示を変更できます。
また点群が小さく見づらい場合には「表示設定>ポイント>ポイントの表示」という使い方をして、ポイントのサイズを変更できます。
見え方の調整をする際によく利用する機能ですので、ぜひ使い方を覚えておきましょう。
点群データの閲覧
点群データをさまざまな角度からチェックしたいという場合には、上から3番目のナビゲーション機能を利用します。以下にReCapの閲覧方法をまとめました。
ReCapの閲覧 | 使い方 |
窓 | 選択範囲した箇所だけを画面に表示する |
画面移動 | 画面をドラッグすること表示画面上を水平移動できる |
オービット | 選択した位置を中心に360度画面を回転できる |
見回す | 現在の視点を中心に360度回転できる |
フライスルー | クリックしたポイントに向かって画面を移動できる |
もちろんマウス操作だけで画面移動などに対応することも可能ですが、細かい使い方には対応できません。「効率よく画面を動かしたい」「無駄を省いた閲覧方法を覚えたい」という場合には、閲覧機能を操作するのがおすすめです。
ReCapの実践的な使い方の流れ
ReCapの点群を読み込み、編集を加えたうえでデータとして出力するまでの使い方の流れを解説します。初めてReCapに触れる方や、使い方がわからず出力まで進めないという方はぜひ参考にしてみてください。
ステップ①点群の読み込みデータを準備する
まずは、ReCapに読み込ませる点群データを準備しましょう。
参考として以下に、ReCapで読み込みできるデータ形式の一例をまとめました。
- txt
- xyz
- e57
- las・laz
- cl3
- ptx
なかでも近年では、LiDARと呼ばれる点群データの取得機器を使い、lasデータとして取得するケースが増えてきています。UAVで撮影したデータ、スマートフォンで撮影したデータなど、さまざまな点群データに対応しているので、自社で点群データを用意できるか確認してください。
ステップ②プロジェクトを新規作成する
ReCapの導入、また点群データの準備が完了したら、実際にReCapで点群を読み込む使い方にとりかかります。
まずはReCapを起動したのち、上画像と同じように、左上に表示されている「新規プロジェクト」をクリックしてください。すると、以下の2種類の選択画面が表示されます。
まず「点群を読み込み」は、あらかじめ準備しておいた点群データを読み込んで可視化する機能です。逆に「写真から3D」は、対象物を連続で撮影した写真データから3Dデータを作成できます。
今回は、左側の「点群を読み込み」をクリックして、上画像に表示されている好きな使い方で準備したデータを読み込んでください。
ステップ③読み込んだデータを確認する
ReCapでのデータの読み込みが完了すると、ワークスペース上に次のような点群のまとまりが表示されます。まずは表示されている点群データについて、必要範囲まですべてのデータが読み込まれているのかを確認してください。
確認が必要な理由は、データの内容やパソコンの処理不足などで、うまくデータを読み込めないケースがあるためです。ReCapで読み込める点群データは、xyz座標が設定されていなければ読み込めません。また、色つきで表示したい場合にはカラー設定も必要です。
上記の使い方をしたのち「必要範囲が表示されない」「カラー表示されない」という場合には、一度読み込んだ点群データの内容に誤りがないかチェックしてみてください。
ステップ④出力に不要な範囲を削除する
ReCapの便利な使い方のひとつに、読み込んだ点群データの不要な点を自由に削除できるというものがあります。使い方も簡単で、マウスを使って不要な範囲を選択しキーボードの「Delete」をクリックするだけです。
例えば、上画像の範囲が不要だという場合には、マウスのドラッグ&ドロップで範囲選択をします。削除範囲が問題ないことを確認したのち、Deteleをクリックすると、次のように選択範囲が削除されました。
特に点群の端部などは、測量や写真からうまく点群を読み取れない影響で、波立った形状で表示されるケースが少なくありません。出力後の設計検討で使えない範囲であるほか、データ容量を圧迫する原因になるため、不要な範囲がある場合にはReCap上で削除しておきましょう。
ステップ⑤データを出力する
点群の読み込み・編集が完了したら、最後にデータをほかのソフトウェアで読み込めるように、出力の作業を実施しましょう。出力の使い方は上画像のように「ホーム>読み込み>出力」から対応できます。
また、出力できるデータ形式を以下に整理しました。
出力形式 | 用途・目的 |
rcp | Autodesk共通で使用できるデータ形式であり、BIM情報を複合的に保存できる(データ容量が重い) |
rcs | Autodesk共通で使用できるデータ形式であり、点群単体のデータを保存できる(データ容量が軽い) |
pts | 共通データとして出力が可能であり、Autodesk以外のソフトウェアでも読み込みできる |
e57 | 同上 |
ReCapで出力したデータを、どのソフトウェアで読み込むのかによって、出力形式を変える必要があります。それぞれ使い方が異なるため「Autodesk製品メインならrcp・rcs」「Autodesk製品以外ならpts・e57」を利用するのが良いでしょう。
ReCapと連携できるAutodeskのソフトウェア一覧
ReCapを活用するにあたり、どのようなソフトウェアとデータを連携できるのか気になっている方も多いでしょう。
参考として以下に、ReCapと連携できるAutodesk製品と、その使い方を整理しました。
Autodesk製品 | 使い方 |
Revit(3D設計) | 現況地形を読み込ませて3Dデータ作成の座標や位置決めに使う |
Civil3D(地盤・道路設計) | 現況地形として読み込ませて線形や土工を検討する |
Infraworks(景観検討) | 景観検討の現況地形として利用する |
Navisworks(施工計画) | 施工計画における現況地形として利用する |
Inventor(機械設計・製品開発) | 写真から起こした3Dモデルを読み込む |
上記の使い方はあくまで一例です。
ほかにもさまざまな用途でReCapのデータを利用できるのはもちろん、Autodesk製品以外のソフトウェアにも活用できるので、現在導入しているソフトウェアでBIM業務に対応できそうなのかをチェックしてみてください。
またReCapの使い方とは別に、設計で利用するRevitについて興味がある方は以下の記事がおすすめです。
ReCapの使い方を勉強する方法
ReCapの使い方をより詳しく勉強したいという方は、次の方法がおすすめです。
- 参考書を読んで使い方を覚える
- ReCapのヘルプを読んで使い方がわからないポイントを解決する
- Autodesk関連のセミナー講習を受講する
ReCapを含むBIMソフトは、今後の設計業務に欠かせないツールとなっています。
本記事で紹介した情報はもちろん、上記の方法を活用して、ぜひReCapの使い方をマスターしてみてください。
またReCapの使い方や導入ソフトについてお悩みの方は「BIM/CIM研究所 無料相談窓口」にお問い合わせください。
使い方はもちろんおすすめの導入ソフトやトレーニング方法を提案いたします。
ReCapの使い方についてまとめ
ReCapは点群の読み込み・編集・変換など、設計の前準備として活用できる便利なBIMソフトです。使い方もシンプルですので、一連の流れを操作すれば、すぐに使い方をマスターできるでしょう。
また、ReCapの使い方が説明された参考書やセミナーなども見つかるので、使い方の問題を解決できない方は、勉強をスタートしてみてはいかがでしょうか。