さまざまな業界でDX(デジタルトランスフォーメーション)が加速している今、「CAD人材」の質が企業の競争力を左右しています。そのため、「CADが使える人はいるが、実務で成果を出せない」「優秀なCAD人材を採用したい」と悩む企業も少なくありません。
そこでこの記事では、優秀なCAD人材の特徴や採用するためのポイントをわかりやすくまとめました。採用のコツだけでなく、記事の最後には既存人材の育成のコツも整理しているので、自社のCADレベルをベースアップする参考にしてください。
CAD人材とは?
CAD人材とは、作図・編集に利用する「CADソフト」のことを正しく理解し、業務にうまく活用できる人材のことです。特に優秀なCAD人材は、以下のポイントを兼ね備えています。
- 図面作成の正確性・スピード感
- 業界に関する基礎知識(作図ルールなど)
- 関係者との調整力・コミュニケーション力
- 2D・3D・BIMなど複数ツールへの理解
特に設計業務に対応する企業の場合、CAD人材の数や質によって、設計の品質やDXへの対応力が大きく左右されます。よって、新たにCAD人材の拡充をしたい場合には、上記の項目を少しでも多く理解している人材であるほど優秀だと判断できます。
なお、CAD人材を採用・育成する際には、BIMについて学ぶことも大切です。
以下の記事では、BIM全般の使い方をわかりやすく解説しています。
建設業で優秀なCAD人材が求められる理由

CAD人材は建設や製造、機械などさまざまな業界で活躍していますが、そのなかでも特にCAD人材を求めているのが「建設業界」です。
建設業界は今、少子高齢化の影響によりCAD人材を含む従業員の人手不足が加速しています。
国土交通省が公開している上のグラフによると、令和5年時点で建設業就業者数は平成9年のピーク時である685万人から、483万人(約30%減)まで減り続けている状況です。その人材のなかにはCAD人材も含まれており、各企業でCAD人材の不足が起きつつあります。
このような背景から、建設業界では、優秀なCAD人材を確保するための「取り合い」が起きている状況です。少ない人材の母数から優秀なCAD人材を見つけ出すためにも、企業はCAD人材を採用するコツやポイントを理解し、優秀な人材を選び抜く必要があります。
採用前にチェックすべきCAD人材に向いている人の特徴
CAD人材の採用では、CADスキルの有無だけでなく「実務でしっかりと成果を出せるか」を基準に見極めることが重要です。ここでは、企業が採用前に必ず確認したい代表的な5つの特徴を解説します。
- 自社で使用しているCADソフトの実績・経験がある
- 2D・3D図面の読み書きができる
- 課題解決力に優れている
- 几帳面で細部までこだわる
- コミュニケーション能力がある
自社で使用しているCADソフトの実績・経験がある

自社で契約しているCADソフトの知識や実務経験を持っている人は、CADソフトの練習期間を抑えつつ入社後すぐに即戦力として活用できます。
ポートフォリオもしくは面接時に「実務で使用したことのあるCADソフト」「使用年数」「担当した業務の範囲」などを確認しておくと、CAD人材として活躍できるか否かを判断しやすくなります。
2D・3D図面の読み書きができる

2D作図や3Dモデリングの読み書きができるCAD人材は、オペレーターとしてだけではなく、設計業務の深い部分まで対応できるのが強みです。
特に近年では、2D作図だけでなく3DモデルをベースとしたBIM業務なども増えてきています。
平面図や断面図の読み取りができるかチェックするほか、2D・3Dの経験年数などを確認しておくとCAD人材として評価しやすくなります。
課題解決力に優れている
CAD人材には、指示待ちではなく図面上の課題に気づき改善提案ができる人が向いています。
優秀なCAD人材は、「作図の早さ」よりも「図面作成のミスを防げる」という点を意識して業務にあたってくれます。課題解決力があるかチェックするためにも、面接の際などに過去に手戻りやトラブルをどのように防いだことがあるのかエピソードを聞いてみると良いでしょう。
几帳面で細部までこだわる

CAD人材として任せやすいのが、几帳面な人・細部までこだわって対応してくれる人です。
図面を作成する際には、国や自治体、研究機関が公開している基準書やマニュアルに沿って図面を構築していきます。このとき、記載すべき情報や細かな数値情報が誤っていると、設計の手戻りが発生するかもしれません。
「レイヤールールや命名規則を守れる人」「図面チェックを怠らない人」などを確認するためにも、あらかじめ過去に作成した図面を共有してもらいましょう。CAD人材としての活躍具合の確認に役立ちます。
コミュニケーション能力がある
CAD人材は、ただ図面を書くのがうまいだけでなく、上司や同じプロジェクトのメンバー、さらには発注者や協力会社とのコミュニケーションを取れる人のほうが向いています。以下にコミュニケーション能力のチェックポイントをまとめました。
- 専門用語を噛み砕いて説明できるか
- 指示内容を正確に実行できるか
- 修正依頼に対して前向きに対応できるか
技術力×対話力が揃ってこそ、長期的に活躍できるCAD人材だと言えます。
面接のなかで、会話力や「〇〇の場合にどうするか」など、対応力をチェックしてみるのがおすすめです。
優秀なCAD人材を採用する3つの方法

「優秀なCAD人材を確保したい」と考えているなら、以下より紹介する3つの方法に取り組むのがおすすめです。各方法の取り組み方やポイントをわかりやすく解説します。
- 人材採用サービスに求人を登録する
- リファラル採用に力を入れる
- 自社採用サイトの充実化を図る
人材採用サービスに求人を登録する
即戦力のCAD人材を短期間で確保したい場合は、人材採用サービスの活用が最も効率的です。
たとえば、次のような求人サイト・エージェントを通じて、自社に最適なCAD人材を募集すると、効率的に人材を確保しやすくなります。
| サービス名 | 特徴 | おすすめの企業 |
|---|---|---|
| 業界特化型の求人サイト | CAD・技術職に強い | 即戦力を採用したい (採用の工数が多め) |
| 総合求人サイト | 未経験者も含めて募集しやすくなる | 未経験~経験者まで幅広く募集したい |
| 人材紹介(エージェント) | CAD人材を厳選できる | 即戦力を採用したい (採用の工数が少なめ) |
このような人材採用サービスを使えば、自社サイトへの応募を待つよりもスピーディーにCAD人材の採用が可能となります。
なお、求人を掲載する際には、求めている人材のイメージを伝える(掲載する)ことも重要です。「CADの経験が3年以上」「業界経験あり」など、CAD人材として求める条件を伝えることにより、応募者を絞り込みやすくなります。
リファラル採用に力を入れる
CAD人材の定着率、そしてCADスキルがあることの確証を持って採用に取り組みたいなら、リファラル採用(社員紹介)が有効です。
リファラル採用は、社員の知り合いなどを紹介してもらう採用方式であり、実際にその人物のスキルや知識量を理解している社員から紹介してもらえるため、優秀なCAD人材を確保しやすくなります。
特にCAD人材は「業務の細かさ」「社内ルール」「コミュニケーション頻度」が合わないと離職しやすいことから、あらかじめ社員から会社の雰囲気を伝えてもらえるリファラル採用との相性が良い職種だと言えます。
自社採用サイトの充実化を図る
中長期で安定的にCAD人材を確保したい場合は、自社採用サイトの強化が不可欠です。
CAD人材は給与・待遇だけでなく、使用ソフト・成長環境・教育体制を重視する傾向が強いため、自社採用サイトで、以下のような求人票では伝えきれない情報を補完できます。
- 使用しているCADソフト
- 実際の業務事例・業務フロー
- 働いている従業員のインタビュー
特に、Web集客に力を入れている企業であるほど、採用サイトの有用性が増していきます。
継続的な人材の確保のためにも、採用サイトの制作もしくは拡充に取り組んでみるのも良いでしょう。
CAD人材の採用で失敗しないための注意点

CAD人材の採用における失敗は「スキルの偏り」と「要件不明確」が主な原因です。
CADは成果が見えやすい一方で、実務への適応力や定着要因を見落とすと早期離職につながるので、以下で紹介する注意点を抑えてCAD人材の採用に取り組みましょう。
- 未経験採用の場合は人柄を重視する
- 能力だけでなくコミュニケーション力もチェックする
未経験採用の場合は人柄を重視する
未経験のCAD人材を採用する場合は、技術よりも次のポイントを重視しましょう。
- 学習姿勢
- 継続力
CADスキルは入社後の教育でも習得可能です。しかし、仕事への向き合い方や基礎的なビジネスマナーは短期間で変えにくいため、「新しいツールを学んだ経験や方法」「指摘を受けた際の受け止め方」などのエピソードを確認しておくと安心です。
また、CAD人材としての教育体制が整っていない企業の場合は、採用前に育成設計を立てることも大切です。OJTと組み合わせながら、計画的に活躍できるCAD人材を育てていきましょう。
能力だけでなくコミュニケーション力もチェックする
CAD人材の成果や活躍の度合いは、能力だけでなく、コミュニケーション力によって左右されます。どんなに効率よくCADを操作できたとしても、次のコミュニケーションおよびその後の対応をうまく取れなければ、大きな手戻りや失敗につながるかもしれません。
- 指示内容の確認・すり合わせ
- 修正理由の理解と再発防止
- 会話からの図面意図の読み取り
そのため、CAD人材を採用する際には、「専門的な内容を非専門の人に説明できるか」をロールプレイするのがおすすめです。スキルと対話力を評価することにより、採用後のトラブルを防止しやすくなります。
CAD人材が成果を生み出しやすい業界一覧
CAD人材は、設計精度や業務効率化、DXの推進が経営課題になっている業界であるほど、高い成果を生み出します。参考として以下に、CAD人材との相性が良い業界を一覧にまとめました。
| 業界 | 活躍しやすいCAD人材の特徴 |
|---|---|
| 建設業界 | ・建築図面(平面・断面・詳細)を正確に読める ・現場や設計者との調整経験がある |
| 機械・製造業界 | ・3DCADでの部品設計経験がある ・寸法や構造など建築基準を意識した設計ができる |
| インテリア業界 | ・デザイン意図を図面に落とし込める ・曲線や意匠性の高い形状に強い |
| 福祉業界 | ・人の動きを想定した設計ができる ・法規や基準(バリアフリーなど)に抵抗がない |
| アパレル業界 | ・服飾パターンやサイズ展開の理解がある ・正確でスピーディーな作業ができる |
| ジュエリー業界 | ・微細な形状を正確にモデリングできる ・美的感覚と技術の両立ができる |
特に近年は、業界の高齢化やDX化などを背景として、「CADが使える人」ではなく「業界理解を前提に業務を回せるCAD人材」のニーズが強まっています。
活躍できるCAD人材を採用するためにも、自社が属する業界のどの工程でCAD人材が価値を発揮するのかを把握し、そのうえで採用要件を設計することが重要です。
なお、CAD人材の採用後は、業界のDX化のためにDX向けの資格取得を目指すことも大切です。以下の記事で、おすすめの資格をチェックしてみてください。
CAD人材は新規採用×既存人材の育成がおすすめ

ここまでCAD人材の獲得・採用に関するポイントを解説してきましたが、実際に社内のCAD人材の拡充を図る際には、新規採用に合わせて既存人材の育成に取り組むことも重要です。
まず、自社内でCADを使える従業員を増やすことにより、人件費を抑えながら設計の品質や精度を高めやすくなります。また、未経験者を教育する必要がないため、育成にかかるコストも削減できるのが魅力です。
そのため、採用と育成という2つの手法を同時並行で実施すれば、2つの方法で人材の確保を補い合いながら、短期間で活躍できるCAD人材を確保できます。
とはいえ、既存人材の育成ノウハウがないとお困りの担当者も多いのではないでしょうか。
そこでおすすめなのが、研修サービスを通じて、プロに自社に最適なカリキュラムを提案してもらう方法です。
たとえば「DX・AI人材育成研修サービス」では、企業が抱える人材育成の悩みをヒアリングしたうえで、最適な育成計画の提案と、伴走的な支援を受けられます。CAD人材の育成はもちろん、DX・AIなど幅広い業界の育成を受けられるため、社内教育が難しいという企業に最適です。
CAD人材についてよくある質問
ここまで紹介してきたCAD人材について、よくある質問をFAQ形式で回答します。
CAD人材についてまとめ
CAD人材の採用では、単にCADソフトが使えるかどうかではなく、業界理解・課題解決力・コミュニケーション力まで含めて評価することが重要です。
特に近年は、建設・製造・福祉といった各業界でDX化が進み、CAD人材の役割が高度化しています。
そのようななかで、自社に合う人材を見極めるためには、新規採用と既存人材の育成を組み合わせた中長期計画の人材採用・育成の戦略が欠かせません。CAD人材の要件整理や育成設計に迷った場合は、一度立ち止まって見直しを行うことが、失敗しない人材拡充の近道です。