BIMのデータは設計士しかアクセスできないイメージがありますが、そんなことはありません。
BIMプロジェクトに簡易アクセスできるアプリ「BIMx」を利用してみてください。
この記事では、BIMxとは何なのかや基本機能や使い方についてまとめました。
BIMxの基礎的な知識を身に付け、BIMプロジェクトに活用していきましょう。
BIMxとは?
出典:BIMx公式ページ
BIMx(ビムエックス)とは、BIMモデルデータや図面情報、属性情報をチェックできる図面ビューアアプリのことです。
建築CADソフトウェアを運営する「グラフィソフトジャパン株式会社」が開発したアプリであり、スマホやタブレットを通じて、BIMソフト「ARCHICAD」で作成された「BIMx Hyper-model(ビムエックスハイパーモデル)」のデータを開けます。
準備や共有が手間になる、設計者・施工者の「社内協議」「現場確認」「発注者打ち合わせ」を効率化してくれるほか、設計・施工の詳細情報を伝えやすくするアプリです。
3Dビルディングモデル・2Dドキュメントを操作できる
BIMxを導入すれば、ARCHICADで作成した3Dビルディングモデルや2Dドキュメントを直感的に操作できます。例えば、次のような操作が可能です。
- 任意視点でモデルをチェックできる
- リアルに日照調整を行える
- リンク設定により2D図面と3Dモデル切り替えられる
各種データはクラウド上で簡単に管理できるため、BIMプロジェクトを立ち上げれば、設計者・施工者・発注者全員で同時にチェックできるのもポイントです。データ共有により、建築物の課題を抽出しやすいほか、オンライン上で手軽にフィードバックを実施できます。
場所を問わずBIMプロジェクトにアクセスできる
BIMxは、ハードウェアの種類を問わず操作できます。スマ-トフォンやタブレットに導入しておけば、外出先でも手軽にBIMプロジェクトにアクセス可能です。
また、場所を問わずデータを確認できることから、以下の資料を紙で出力する必要がなくなります。
- 社内協議資料
- 現場資料
- 打合せ資料
紙で印刷した場合、モデルの視点が限定されるため、別の視点が見たいと指摘があるたびに帰社対応が必要になった経験はないでしょうか。
一方、BIMxなら、その場で自由に画面操作して情報共有できます。
ペーパーレス化に貢献する便利な図面ビューアアプリとして、社内作業を効率化できるのが当アプリの魅力です。
BIMxアプリのダウンロード方法
BIMxは、デバイスの種類を問わずダウンロードできます。
PCでの利用はもちろん、スマートフォン・タブレットでも操作可能です。
以下にBIMxのダウンロードリンクを整理しましたので、自身の所有するデバイスに合わせて導入してください。
BIMxの価格・プランを比較
BIMxは基本無料で利用できる図面ビューアアプリです。
以下に示すすべての機能を無料で利用できるため、ARCHICADで作成されたデータをチェックしたい方は、ぜひアプリを導入してみてください。
- 要素とゾーンデータを含む3Dモデル
- 高速2Dドキュメントビューア
- 2Dと3D間のハイパーリンクナビゲータ
- 図面投影
- 設計検討ツール
- モデルの3D切断
- VR
ただし、次の目的でBIMxを利用したいのなら「BIMx Free」という無料プランではなく、「BIMx PRO」という有料プランの利用が必要です。
- モデルサイズを問わず利用したい(大規模建築含む)
- お気に入りビューを保存したい
- プレゼンテーションモードを利用したい
- モバイルデバイスからドキュメントを印刷したい
- APIを使って外部データとの連携したい
有料プランの料金は、要見積もりとなっています。もし有料プランの利用が必要なら、グラフィソフトジャパン株式会社に問い合わせてみてください。
BIMxに求められるスペックとは?
BIMxは、モバイル・Web・デスクトップによって、それぞれ求められるスペックが異なります。参考として、以下に条件ごとの各スペックを整理しました。
BIMxモバイルアプリの場合
推奨動作環境 |
||
オペレーティングシステム | iOS 15、Android 12 | |
デバイス | Apple | Android |
iPad Pro 第4世代 以降 | Samsung Galaxy Tab S7以降 | |
iPhone 13 以降 | Samsung Galaxy S21以降 |
BIMx Web Viewerの場合
推奨動作環境 |
|||
Webブラウザ | Windows | Chrome, Edge, Firefox | |
macOS | Safari, Chrome, Firefox | ||
iOS, iPadOS | サポートなし | ||
Android | Chrome | ||
必要ハードウェア | キーボード・マウス、またはタッチスクリーン |
BIMx Desktop Viewerの場合
推奨動作環境 |
||
CPU | Intel Core i5 AMD Ryzen 5 |
64ビットIntelまたはAMDマルチコアプロセッサ |
メモリ | 8 GB以上のRAM | |
グラフィックスカード | 4 GB以上 OpenGL 4.5互換の グラフィックスカード |
OpenGL互換のグラフィックスカード |
ディスプレイ解像度 | FHD (1920×1080以上) | 1024 x 768 |
ハードディスク | SSD 空き容量5 GB以上 |
|
オペレーティングシステム | Windows 10 64-bit macOS 12 |
Windows 10 macOS 10.15 |
BIMxの使い方3選
BIMxには主に、以下の3通りの使い方があります。
- 3Dモデルビューア
- VR閲覧
- データベース連携
各種特徴を見ていきましょう。
1.3Dモデルビューア
出典:BIMx公式ページ
BIMxを用いれば、高速処理の読み込み機能によって、素早くモデルデータを開けます。滑らかな画面移動はもちろん、建築物の断面図を任意で確認できるなど、設計時の発注者説明や施工現場での確認に活用できるのがポイントです。
また、プレゼンテーション機能を用いることによって、確認してほしいポイントを準備し、打ち合わせに活用できます。ハイパーリンクを設定すれば、3Dモデルからそのまま関係資料を開けるため、説明の理解度を高めやすいのが当アプリの魅力です。
2.VR閲覧
BIMxで読み込んだ3Dモデルは、VR閲覧に対応しています。作成したモデルをリアルに投影できることはもちろん、実際の目線でデータを見ることにより、詳細情報を確認しやすくなるのがポイントです。
VR画面上で自由に移動できるほか、各種視点をブックマークすることによって、いつでも見たい箇所を手軽に確認できます。
3.データベース連携
BIMxのデータベース連携機能を用いれば、作成した3Dモデルの部材や建材ごとの属性情報を確認できます。
属性情報のあるデータを納品することによって、その後の維持管理・メンテナンスにも活用できるのが魅力です。経年劣化による補修等の検討にも使用できることから、長期的な建築物の管理計画として活用してみてください。
BIMxの活用シーン
BIMプロジェクトを進行する必要があるが、BIMxをどのように活用すべきかお悩みの方もいるでしょう。
それなら、以下のポイントで活用してみてはいかがでしょうか。
- 現地確認
- プレゼンテーション
各種活用シーンの動き方を詳しく見ていきましょう。
現地確認
BIMxは、場所を問わず自由にBIMプロジェクトにアクセスできるため、設計・施工時の現地確認に利用してみてはいかがでしょうか。
例えば、現況モデル・計画モデルそして現地状況を見比べることによって、比較することでしか分からない設計の課題を洗い出せます。また、施工時にはBIMデータの施工ステップを用意することによって、進捗状況や施工状況の確認資料として活用可能です。
普段紙の資料で確認している状況を電子化できるため、ペーパーレス化の促進も含めて現地確認に利用してみてください。
プレゼンテーション
社内協議や発注者協議を行う際、紙媒体の資料で説明しているけれど、うまく情報が伝わらないとお悩みなら、BIMxを用いたプレゼンテーションを活用してみましょう。
BIMxのプレゼンテーション機能を活用すれば、同じ画面を共有しつつ視覚的に建築物の情報を話し合えます。3Dモデルの表示はもちろん、ハイパーリンクを組み込めば、2D図面や検討資料といったドキュメントの表示も可能です。
情報の「見える化」を行うことによって、設計・施工者と発注者との理解度の差を埋めるきっかけとなります。
BIMxに関するよくある質問
BIMxにおいて、まだ分からないことがあるとお悩みではないでしょうか。
そこで最後に、BIMxに関連するよくある質問をまとめました。気になる項目をチェックして、BIMx導入の参考にしてください。
BIMxでは、ARCHICADで作成された「〇〇.BIMX」という拡張子を操作できます。BIMX拡張子を取り扱うプログラムは次のとおりです。
対応OS | プログラム名 |
Windows | ARCHICAD |
BIMx Desktop Viewer | |
Android | BIMx for Android |
iOS | BIMx for iPhone |
利用するデバイスによってダウンロードするソフト・アプリが異なるのでご注意ください。
BIMxについてのまとめ
今回は、3Dモデルビューアアプリ「BIMx」の特徴や使い方、活用シーンについてご紹介しました。
BIMxは基本無料で利用できるアプリです。
デバイス・場所を問わず3Dモデルを開けるため、設計・施工のBIMプロジェクトを共有するために活用してみてはいかがでしょうか。