東京都で建設業を始めたいけれど、建設業許可の取得方法がわからないとお悩みの方も多いでしょう。また、どのような方法で手続きできるのか探している人もいるはずです。
この記事では、東京都における建設業許可の取得方法や手順、おすすめの方法についてわかりやすくまとめました。必要書類も解説しているのではじめて建設業許可を取得する人は、手続きの参考にしてください。
東京都で必要になる建設業許可とは?
建設業許可とは、建設業を営むために取得しておかなければならない許可のことです。
建設業法の第3条に取得が必要だと定められており、東京都で事業を始めるなら、東京都内で案件を受注するために東京都に許可申請をしなければなりません。
建設業を営もうとする者は、二以上の都道府県の区域内に営業所を設けて営業をしようとする場合にあつては国土交通大臣の、一の都道府県の区域内にのみ営業所を設けて営業をしようとする場合にあつては当該営業所の所在地を管轄する都道府県知事の許可を受けなければならない。
複数の都道府県で事業をスタートする場合には国土交通大臣へ申請する一方で、東京都だけのように1つの都道府県で事業をスタートする場合は、都道府県知事に申請するのが特徴です。
また建設業法の第3条より、東京都で政令で定める軽微な建設工事のみを実施する際には、建設業許可を取得せずとも事業を始められることになっています。軽微な建設工事のみしか対応しない場合には許可申請を取らずに東京都で仕事を受注できると覚えておきましょう。
建設業許可を取得しなかった場合の罰則
東京都の建設業許可を取得せずに東京都で営業をした場合、建設業法違反に該当し、3年以下の懲役または300万円以下の罰金が科せられます。(軽微な建設工事は不要)
さらに法人に対しては1億円以下の罰金が発生するため、許可なく営業したり、虚偽の申請を出したりするのは危険行為だと覚えておきましょう。また建設業法違反をすると、営業停止や許可の取り消しを受け、東京都で一時的に事業を継続できなくなります。
東京都で建設業許可を取得できる条件
東京都で建設業許可を取得する際には、必ず次の条件を満たさなければなりません。
必要条件 | 概要 |
経営に関わる管理責任者がいる | 事業主本人や取締役社長が在籍している必要があり、5年以上の業務経験が必要 |
専任技術者が在籍している | 実務経験10年以上または大学等を卒業後3~5年従事した経験が必要 |
事業継続の財産が安定している | 純資産の合計が500万円以上ある |
誠実な姿勢で契約を履行できる | 不正行為や許可取り消しの経歴がない |
欠格要件に該当しない | 破産手続き等の経歴がない |
社会保険に加入している | 健康保険・厚生年金保険・雇用保険の3つに加入している |
条件をひとつでも満たしていなければ、東京都で建設業許可を取得できません。
東京都で新しく建設事業を開始する予定があるなら、事前準備を忘れないように気を付けてください。
東京都における建設業許可の必要書類
東京都で建設業許可の申請をする際には、以下の申請書類を添付しなければなりません。
添付の種類 | 必要書類一覧 |
本冊として添付 | ・建設業許可申請送付票兼審査票 ・建設業許可申請書 ・許可通知書の写し ・社員や営業所の一覧表 ・工事経歴書 ・工事施工金額の実績 ・従業員数 ・誓約書 ・定款 ・財務書類 ・営業の沿革 ・保険加入書類 ・取引先金融機関の書類 |
別冊として添付 | ・全従業員の証明書 ・技術資格関連の証明書 ・実務証明書 ・商業登記の証明書 ・納税証明書 |
確認資料 | ・身分証 ・診断賞 ・預金残高 ・営業所の写真 |
建設業許可申請書類の詳細情報や手引書、テンプレートは東京都都市整備局にてPDF・Excelデータが提供されています。申請前にダウンロードし、必要書類を網羅させてください。
東京都で建設業許可を取得する手順
東京都で建設業許可を取得する際の手順を以下にまとめました。
- 東京都都市整備局から提出書類のテンプレートをダウンロードする
- 必要書類をすべて用意する
- 東京都庁建設業課に申請書を含む書類を提出する
- 申請が受理されたら手数料を窓口で支払う
基本的には、必要書類の準備に時間がかかります。
資料が不足している場合や不備がある場合には再提出や修正を求められるため、提出前に不備がないか確認することが重要です。
東京都に提出する建設業許可は電子申請がおすすめ
以前まで建設業許可は窓口での手続きが必要でしたが、新型コロナウイルスのまん延に伴い、東京都では電子申請・郵送申請が可能となりました。
必要書類をデータファイルにまとめて提出するだけですので、移動時間や待ち時間が不要となります。忙しくて東京都庁まで足を運べないとお悩みなら、手軽な電子申請を活用してみてください。
東京都の建設業許可は行政書士に委託できる
東京都で建設業許可を申請する予定があるけれど、準備する書類が多く複雑であるため、自分で対応できるか不安な方も多いでしょう。もし、東京都の建設業許可申請ができないとお悩みなら、書類手続きのプロである行政書士に相談するのがおすすめです。
行政書士は建設業許可の申請を代行できるプロであり、書類の準備等をひとまとめにして委託できます。書類の作成はもちろん提出まで一連の流れをすべて任せられるので「東京都に急いで許可申請しなければならない」「不備なくスムーズに東京都から許可を得たい」と考えている方におすすめです。
東京都で建設業許可を取得した後の業務効率化を検討しているなら、建設会社の多くが利用する図面作成のDX化を目指すのはいかがでしょうか。以下の記事ではDXのひとつとして図面作成ソフトのBIMについて解説しています。
行政書士の相場費用
東京都の建設業許可の申請を行政書士に相談した場合、およそ10~15万円の委託費用がかかります。委託する行政書士や事務所によって若干の費用差はありますが、手続きの手間を減らせるのが魅力です。また、行政書士に委託した場合の許可申請にかかるトータル費用は次の通りです。
- 都道府県知事許可9万円
- 国土交通大臣許可15万円
- 行政書士委託10~15万円
以上より、40万円程度を見積もっておくと安心です。
また行政書士の中には東京都への許可申請の更新や書類管理などに対応してくれる方もいます。
東京都への建設業許可を継続的にサポートしてもらえるため、委託の継続を検討してみるのも良いでしょう。
建設業許可を取得後の事業効率化を目指しているけれど、動き方がわからないとお悩みならBIM/CIM研究所にご相談ください。
東京都で建設業許可を取得する注意点
東京都で建設業許可を取得する際には、いくつか注意しなければならないことがあります。
建設事業を問題なく継続したい方は、紹介する注意点を理解したうえで申請手続きをスタートしましょう。
5年ごとに許可申請の更新が必要
建設業法の第3条より、建設業許可は5年ごとに更新が必要であると定められています。
つまり東京都で一度申請をしたら終わりというわけではなく、事業を継続していることを示すために何度も東京都に対して更新手続きをしなければならないということです。
また更新を忘れると、建設業許可の効力が失われます。
もちろん申請忘れに対する措置も用意されていますが、手続きが複雑になるので、余裕をもって更新手続きを実施してください。
帳簿・営業書類の保存が必要
東京都で建設業許可を取得したら、許可期間の5年間は営業所ごとに以下の書類を保管しなければなりません。
- 業務契約書の写し
- 領収書の写し
- 打ち合わせ記録簿(元請けの場合)
- 台帳や図面(作成義務がある場合)
また、建設業務の元請けとなる場合そして新築工事を担当する場合には、許可期間を問わず10年間の保管が必要です。もし帳簿や営業書類を保管し忘れると、建設業法違反に該当し、罰則や罰金を科せられるおそれがあります。
また保管する図面について概要を知りたい方は、以下の記事をチェックしてみてください。
建設業・建築業で作成する図面の種類や図面の一般的な書き方について解説しています。
営業所・工事現場に建設業許可票の掲示が必要
東京都から建設業許可を取得した後は、必ず以下の場所に建設業許可票を掲載しなければなりません。
- 営業所
- 工事現場
また掲載する建設業許可票のサイズが決められていることに注意してください。
営業所の場合は縦35cm×横40cm以上、工事現場の場合は縦25cm×横35cm以上であり、掲載すべき情報が国土交通省にまとめてあります。
特に工事現場の場合は、業務ごとに作成が必要になるため、業務受注のタイミングに作成することをおすすめします。
東京都の建設業許可についてよくある質問
東京都で建設業許可を取得する予定の方向けに、よくある質問をまとめました。
東京都の建設業許可についてまとめ
東京都で建設事業を始めたいのなら、軽微な工事を除き必ず建設業許可を取得しなければなりません。このとき営業所の数によって申請先が変わること、許可を取らなければ建設業法を違反して罰則・罰金を科せられることに注意してください。
建設会社や事務所にとって必要不可欠な許可申請ですので、本記事の基礎知識や手続き手順を参考に、東京都に許可申請を提出してみてはいかがでしょうか。