DXに伴いCAD運用の需要が高まる中、導入が進みつつあるのがBricsCADです。BricsCADはCADを触ったことのない初心者にとっても扱いやすいCADソフトとして知られており、気軽にスキルアップを目指せます。ただ、初心者にやさしいとは言っても使いこなすにはある程度のスキルアップのための学習が必要になるため、時間をかける必要もあるでしょう。
この記事では、BricsCADを触れたことがない初心者の方が覚えておきたい、基本的な使い方を解説しながら、初心者向けの勉強のポイントについても紹介します、
BricsCADの強み
BricsCADは人気の高い製品ですが、具体的にはどのような点が評価されているのでしょうか、ここでは、初心者が知っておきたいBricsCADの強みについて、解説します。
互換性に優れている
BricsCADは他のCADソフトとの連携がしやすく、コラボレーション環境を有効活用できるのが特徴です。
CADソフトには複数の種類があり、場合によってはモデルの共有ができないなどのトラブルに見舞われることもあります。初心者にとって、このような想定外の事態は大きな負担となることがありますが、BricsCADではこの問題を回避しやすいのが強みです。
BricsCADはCAD運用においては共通規格となっているDWG形式のファイル共有に対応しています。そのため、BricsCAD以外のCADソフトを運用している関係者とも簡単にデータ連携が取れ、初心者が余計なトラブルを回避するのに役立ちます。
2D・3Dの両方に対応している
BricsCADは、2Dと3Dの両方のCADソフトに対応しているのが特徴です。一般的なCADソフトの多くは、2Dか3Dのどちらかにのみ対応しており、それぞれを別個に運用しなければならないというケースが珍しくありません。
CADをはじめたての初心者が、2Dと3DのCADソフトを両方揃えるというのは学習負担や導入負担が大きいものですが、BricsCADなら一本のソフトを購入するだけで完結できます。
必要に応じて、BricsCAD上で立ち上げるツールを切り替えるだけで2Dと3Dを併用できる点は、学習効率という意味でも初心者に魅力的な強みです。
BIMデータを扱える
BricsCADは基本的にCAD運用を想定した製品ですが、BIMデータを運用できるという点も高く評価されているソフトです。
BIMは次世代のCADとも呼ばれている3Dモデリング技術で、3Dモデルの中に2Dデータを内包して運用できます。基本的なモデリング方法はCADと同じですが、細かい部分での操作の違いや、CADソフトではBIMモデルを構築できないなどの理由から、専用のBIMソフトやスキルが求められるのが特徴です。
一方でBricsCADは、BIM対応のライセンスプランを選択することにより、BIMデータ運用が可能になります。通常であれば別途製品を購入しなければいけないところを、BricsCADならライセンスの切り替えだけでBIMを導入できる強みを有しています。
CADのスキル取得を目指す初心者の方がいきなりBIMを扱うのは困難ですが、将来的にBIMのスキルも獲得したい場合、BricsCADは良い選択肢となるはずです。
初心者が知っておきたいBricsCADの画面の見方
初心者の方がBricsCADを上手く扱えるようになるためには、まずBricsCADの画面の見方を理解するところから始めるのが良いでしょう。ここでは、基本的なBricsCADの画面表示について、解説します。
BricsCADの画面上部の要素
BricsCADの画面上部は、主に以下の3つの要素で構成されています。
タイトルバー | ウインドウのファイル名が表示される。画面最上部に配置 |
メニューバー | 基本的なコマンド類が表示されている。タイトルバーの下部分に配置 |
ツールバー | 図面作成に必要なツールがまとめられている。作図領域の上部に配置 |
タイトルバーは、画面の最上部に表示されるバーのことです。BricsCADのライセンス情報、そして現在開いているウインドウのファイル名が表示されます。
メニューバーは、BricsCADを操作する上で使用頻度の高いコマンドをまとめた分離が表示されています。ファイルの保存や操作の取り消しなどは、メニューバーからの操作で実行可能です。
ツールバーは、メニューバーよりも詳細なコマンドを実行するための機能がひとまとめに整理されている部分です。図面を描いたりモデルを作成したりする場合は、基本的にツールバーにあるツールを切り替えながら運用します。
BricsCADの画面下部の要素
BricsCADの画面下部は、主に以下の2つで構成されています。
- コマンドラインウインドウ
- ステータスバー
コマンドラインウインドウは、コマンドを直接入力して操作を実行するためのウインドウです。BricsCADでは、基本的にメニューバーやツールバーから操作を選んで実行します。ただ、操作に慣れてくると、コマンドを直接入力した方が利用しやすいというケースも出てくるので、その際に有効活用すると良いでしょう。
ステータスバーは、カーソルを表示した箇所の説明や、ソフトウェアの状態を表示するのに用いられます。
いずれの画面表示も、初心者の方が最初から使用する機会は少ないものですが、その役割を早い段階で把握しておくと、余計な混乱を回避できるでしょう。
BricsCADの画面中央の要素
BricsCADの画面中央は、主に図面の作成やモデルの作成を行うための機能が揃っており、初心者の方にとって重要性が高いと言えます。確認しておきたい項目は、以下のとおりです。
- 作図領域
- クロスヘアカーソル
- ルックフロムコントロール
- ドキュメントタブ
画面中央の大きく設けられた余白は、作図領域です。ここにモデルや図面を描いていくこととなります。そして作図領域上では、カーソルがクロスヘアカーソルとして表示されます。クロスヘアカーソルを操作しながら、線の描画などを行います。
また、作図領域の右上にはルックフロムコントロールと呼ばれるものが配置されています。これは、表示している図形の座標を切り替えることのできる機能です。図形を手動で回転させなくとも、瞬時に視点を変更できる点が便利です。
ドキュメントタブは作図領域の左上に表示されている、現在展開されているドキュメントの名称が表示される部分です。タブは複数展開ができ、必要に応じてクリックすることにより、瞬時に図面を切り替え、作業効率化を進められます。
初心者向けBricsCADの操作方法
続いて、初心者がおぼておきたい基本的なBricsCADの操作方法を解説します。BricsCADを初めて扱う場合、まず必要なのが2Dで製図を行うための操作方法です。ここでは製図に必要な操作のやり方をピックアップして紹介します。
線を引く方法
BricsCAD初心者の方は、まず線を引くための方法を覚えましょう。線には大きく分けて、
- 基準線
- 通常線
の2種類があります。基準線は、その図面を描く際の基準となる線のことで、最初にこれを引き、描画の際のブレなどを最小限に抑えます。
BricsCADで基準線を引くには、ツールバーで右クリックを入力し[コンテキストメニュー]を選択します。すると[プロパティバー]の項目があるので、これをクリックし、そこにある[画層]を選択しましょう。
そこで線を引くための設定を完了したら、ツールバーから[ポリライン]を選びます。プロンプトメニューから[線分]を選んだら、クリックして始点と終点を定義することで、基準線の描画は完了です。
通常線を引きたい場合も、基本的な操作は同様です。手動での線引きでは綺麗に線を描けないという場合は、メニューバーの[修正]から[オフセット]を選びます。修正したい線を選び、コマンドラインに線の距離を入力したら、オフセットしたい図形を別途選ぶことで、並行な線を描くことが可能です。
寸法を入力する方法
作図した図形についての寸法を入力したい場合、ツールバーから[寸法画層]の入力を行います。選択するとツールバーより[長さ寸法]を選ぶことができるので、ここから寸法を定義したい線を選びましょう。
クロスヘアカーソルを操作して長さを確定したら、寸法の入力は完了です。
初心者がBricsCADを上達するためのポイント
BricsCADの操作を初心者が効果的に学ぶためのポイントには、以下の3つが挙げられます。
- 基本操作をなじませる
- 一つのプロジェクトを完成させる
- 実践経験を積む
初めてのCADソフトという初心者の場合は、まずCADの概念を理解し、BricsCADの基本操作についてマスターすることが大切です。基本操作が板についてくると、それに伴い学習スピードも加速していくことが期待できます。
また一つの図面を完成させるという経験を積み重ねることも大事です。どのようなプロセスで図形を完成させれば良いかの流れを理解することで、必要なスキルやより高度な技術の取得を後押しします。
可能であれば、積極的に実践経験を積めると良いでしょう。現場での経験が最も身につくため、初心者であっても機会を逃さないことが大切です。
初心者向けで使えるBricsCADの勉強方法
BricsCADを効率よく勉強する上で、初心者の方は以下のポイントを押さえましょう。
- 公式チュートリアルを活用する
- 書籍を手元に置いておく
- セミナーを活用する
BricsCADは、初心者向けの公式チュートリアルが充実しています。まずはここを参考にすることで、操作に必要な基本事項を身につけることができるでしょう。
また、BricsCAD関連の書籍も一冊手元に置いておくことで、わからないことがあるたびにネットで検索する手間が省けます。いつでも参照にできる本があるのは、初心者を脱した後も役に立つものです。
自身では学習を進めるのが難しいと感じる場合、各種セミナーやスクールも活用すると良いでしょう。対面、あるいはオンラインで体系的にBricsCADのスキルを、初心者でも一歩ずつ確実に身につけることができます。
初心者向けBricsCAD運用のまとめ
この記事では、初心者向けのBricsCAD運用をどのように進めていくべきか、そして初心者が知っておくべき学習のポイントや基本操作について解説しました。
BricsCADはCADがはじめてという方でも使いやすいよう設計されているソフトですが、それでもある程度の学習期間は必要です。まずは基本の操作方法をチュートリアルなどを参考にしながら習得し、実践経験を積んでいくと良いでしょう。