BricsCADは世界でも人気の高い汎用CADソフトの一種で、日本でも多くのプロの現場で採用されています。そのためこれからCADのスキルセットを身につけたいという方にもおすすめしやすく、第一線での活躍を目指せるのでポテンシャルにも優れたサービスです。
ただ、BricsCADはポピュラーなサービスである一方、使い方を身につけるには他のCADと同様にある程度の学習期間が必要です。この記事では、BricsCADを扱う上で欠かせない基本操作について解説しつつ、さらなるスキルアップを目指すためのポイントをまとめて紹介します。
BricsCADでできること
そもそもBricsCADでは、具体的にどのようなことができるのでしょうか。基本操作を学ぶ上で知っておきたい、主な運用方法を紹介します。
2D・3DでのCAD運用
BricsCADが高く評価されている理由の一つに、2Dと3Dの両方のCAD操作に対応している点です。一般的に、CADソフトは2D特化か3D特化のどちらかであるため、2つの工程をこなすためには二種類のソフトを用意しなければなりません。
一方でBricsCADの場合、一つのライセンスで2Dと3DのCADをまとめて操作することができます。ソフトを複数導入する必要がなく、切り替えもほぼシームレスに行えるため、非常に便利です。ただ、2Dと3Dでは基本操作が異なる部分もあり、それぞれの使い方を覚える必要もあります。
BIMを使ったモデル作成
BricsCADは基本的にCAD運用を目的としていますが、必要に応じてBIMにも対応できるのが特徴です。2Dデータを3Dモデルに内包できるBIMは、通常であれば専用のソフトを導入しないと利用はできません。一方でBricsCADは、BIM対応のライセンスに切り替えるだけで、BIMモデルの読み込みを行えるようになります。
今後CADだけでなく、BIMの基本操作も学んでいきたいと考えている場合、BricsCADは非常に有効です。
AIを使った高度な作図
BricsCADは最新のアップデートによって、AIを使った操作ができるようになりました。AIを使用することで、一部作業の効率化や自動化を推進し、生産性向上が実現します。
BricsCADの主要なAI機能の一つに、簡略化が挙げられます。簡略化は、複数の点で構成されているポリラインなどのオブジェクトを、最小限の点の数に減らし、運用効率を高められる機能です。
作業において不要な点を削除することで、編集作業の効率を高めることができます。
BricsCADの基本操作は何から学ぶべき?
このように、BricsCADを使いこなすことができれば多くの機能を通行活用し、高度な建築設計などにも役立てられます。ただ、BricsCADを使い始めて間もない場合には、基本操作を身につけるところから始めることが大切です。
BricsCADには2Dと3DのCAD機能があり、それぞれで微妙に使用方法が異なります。そのため基本操作もある程度別個に身につけることが大切ですが、まずは2D設計の基本操作から覚えるのが良いでしょう。
2D設計は、あらゆるプロジェクトにおける基本と言える業務です。2D設計ありきで3Dモデルの作成も行うため、まずは2Dの基本設計を身につけましょう。
BricsCADの基本操作:画面の見方
BricsCADを立ち上げた際、まず初心者の方がつまづきやすいのが、その画面の見方です。様々な情報が一つの画面で一度に表示されるため、どこから手をつけて良いのかがわからなくなることもあるものです。
ここでは基本操作の一環として、BricsCADの画面の見方を解説します。
BricsCAD画面上部の基本操作
BricsCADの操作画面は、主に上部と下部、そして中央に分かれます。基本操作を身につける上で重要なのが、画面上部の使い方です。
BricsCADの画面上部は、以下の3つの要素で成立しています。
- タイトルバー
- メニューバー
- ツールバー
タイトルバーは、BricsCADの画面最上段にあるバーです。現在展開中のファイル名と、稼働しているBricsCADのライセンス情報が表示されます。
メニューバーでは、BricsCADを扱うための基本的な機能が揃っています。ファイルの保存やデータのインポート、その他操作の取り消しやツールの展開などを、ここで実行できます。
ツールバーは、図面作成で使用するコマンド群がまとまっている部分です。基本操作を身につける上では、このツールバーの各種機能についての理解を深めることが重要です。
BricsCAD画面下部の基本操作
BricsCADの下部には、初心者の頃にはそこまで活用する機会はないものの、基本操作をマスターした後に活用する機会が増える要素が設けられています。
中でも重要性が高いのが、コマンドラインウインドウです。通常、BricsCADはツールバーから各種ツールを選んで作図を行いますが、コマンドラインウインドウにコマンドを直接入力し、作図を行うこともできます。
コマンドラインを使いこなせると、ツール切り替えのためにアイコンを探してクリックする必要がなくなったり、数値を入力して正確な図面描画を実現できたりします。
一通りの基本操作を覚えたら、さらなる効率化や品質向上に向けてコマンドラインウインドウも活用してみると良いでしょう。
BricsCAD画面中央の基本操作
BricsCADを扱っていると、最も使用する頻度が高いのが画面中央です。画面中央は、以下の4つの要素で構成されています。
- 作図領域
- クロスヘアカーソル
- ルックフロムコントロール
- ドキュメントタブ
作図領域は、BricsCADの画面中央に設けられた作図スペースです。図面の作成は基本的にこの空間の中で行います。
作図領域では、カーソルは通常の矢印ではなくクロスヘアが設けられたクロスヘアカーソルに変化します。クロスヘアを参考にすることで、角度や位置などにあたりをつけながら作図を行えます。
作図領域の右上にあるのが、ルックフロムコントロールです。同アイコンの任意の側面をクリックすることで、作図領域にある図面を様々な角度から瞬時に確認できます。BricsCADを扱う際の基本操作として、このツールの使い方を身につけておきましょう。
ドキュメントタブは、現在展開しているファイルを表示するためのタブです。作図領域の上部に表示されるこのタブは、複数同時に展開することができます。ドキュメントタブをクリックするだけで、図面をシームレスに切り替えることができるため、非常に便利です。
BricsCADの基本操作:図面作成の方法
BricsCADで図面作成を進める際の基本操作を、以下の表にまとめました。
基本操作 | 実行方法 |
直線を引く | ツールバーより[ポリライン]を選択 |
寸法を入力する | ツールバーから[長さ寸法]を選択 |
コマンドを中止する | 右クリック |
図形を部分削除する | ツールバーから[部分削除]を選択 |
ファイルを保存する | Ctrl+S、もしくは[ファイル]から[保存]を選択 |
BricsCADには多くの機能が実装されていますが、いずれの機能を使うにせよ、基本操作となるのが、ツールバーからツールを選び、各種機能にアクセスするというものです。中でも直線の入力や寸法入力、削除の実行はどんなプロジェクトでも使用するため、感覚的に扱えるようになることが大切です。
選択中のコマンドの使用をやめるには、右クリックでキャンセルができます。また、ファイルの保存はCtrl+Sで実行できるなど、一般的なドキュメントソフトなどと同じように扱える部分も覚えておきましょう。
BricsCADの基本操作を身につける上で有効な公式チュートリアルとは
BricsCADの基本操作は、実際に試行錯誤をしながら操作方法を学ぶことで身につけることができますが、活用したいのがBricsCADに実装されているチュートリアル機能です。
これは最新のBricsCADで使用ができる初心者向けの機能で、各種BricsCADの基本機能を、BricsCAD上で確認できます。
BricsCADの使用経験や自身の関心についてのヒアリングを行った上で、必要となるであろう基本機能を整理して教えてもらえるため、非常に便利です。自分でわからないところを探す手間が省けるという点でも優れ、高い学習効率が期待できます。
最初の質問に回答すると、その結果に応じたチュートリアルリストが展開されます。気になる項目をクリックすると、レッスンの内容が表示され、それに従うことで基本操作を学べる仕組みです。
公式チュートリアルの便利なポイント
公式チュートリアルは、テキストと画像、そして映像と共に基本操作の方法を、各項目に整理した上で提供してくれます。また、操作を実行するにあたって必要なサンプルデータもダウンロードができるため、チュートリアルの過程を通じて一つのプロジェクトを完成させる経験も得られます。
まずは公式チュートリアルの中で紹介されている基本操作を学べば、実用的なスキルが得られるでしょう。
公式チュートリアルを有効活用する方法
公式チュートリアルの内容をなぞることで、基本操作については網羅的に身につけることができます。ただ、チュートリアルだけでは身につけることが難しいスキルについては、別途書籍の購入などで補うと良いでしょう。
また、最近はプロによるYouTube上での情報発信なども盛んです。様々な媒体を駆使して、自身のスキルアップを目指すことをおすすめします。
BricsCADの基本操作についてのまとめ
この記事では、BricsCADの基本操作をどのように身につけるのか、そして覚えておきたい操作方法について解説しました。BricsCADは様々な機能を有効活用することで、高度な図面作成を行えます。ただ、まずは基本操作を身につけた上で、段階的にステップアップを図ることが大切です。
また、BricsCADに備わっている公式のチュートリアル機能は、基本操作を身につける上で非常に魅力的です。まずはこの機能を有効活用の上、高度なスキルセットの取得に役立てましょう。