AutoCADを1から学びたいけれど、いったい何から始めるべきかわからないとお悩みの方も多いでしょう。また、図面の書き方から練習を始めたい人もいるはずです。
そこでこの記事では、AutoCAD初心者向けにチュートリアルをわかりやすくまとめました。
基本操作を覚えるためのマニュアルとして活用してみてください。
AutoCADの準備チュートリアル
まずはAutoCADを起動して、作図を始めるまでの準備に関するチュートリアルをまとめました。
次のステップで説明するAutoCADの作図チュートリアルで必要な準備ですので、各チュートリアルを実際に操作してみてください。
新規図面を作成する
最初のチュートリアルとして、まずはAutoCADを起動してください。
アイコンをダブルクリックすると、上画像と同じ画面が表示されます。
今回は新しく図面を作成するところからスタートするため、画面左側に表示されている「新規作成」をクリックしましょう。
レイヤー(画層)を設定する
AutoCADで作図をする前に必要なのが、レイヤー(画層)の設定です。
レイヤーとは図面を層に分けて表示する機能であり、次のようなオブジェクトを分けることにより、表示や選択、印刷などを調整しやすくなります。
- 主要なオブジェクト(主構造物など)
- 補助として用いるオブジェクト(副構造物など)
- 数値や文字情報のオブジェクト(寸法・テキストなど)
レイヤーは「ホーム>画像>画像プロパティ管理」から起動できます。
なお、レイヤーの名称は「CAD製図基準」に基づいて設定する必要があります。
ただし、項目が多いため今回はシンプルに上画像と同じ3つのレイヤーで作図にとりかかります。
構築線を配置する
準備チュートリアルのなかでも重要なのが、ワークスペース(作図する空間)に基準線を配置することです。
基準線とは、オブジェクトを配置しやすくする線のことであり、網目状に配置することで図面の位置関係をわかりやすくする効果があります。前項のチュートリアルで設定した「副線」レイヤーを選択したのち「ホーム>作成>構築線」を選んで次の条件で線を配置しましょう。
- XY差表の基準を軸に100mmずつ縦線・横線を配置する
- 5,000mmまで構築線を用意する
上記の条件で用意した図面が、見出し直下にある網目状の配置です。
構築線を用意した後は「ホーム>注釈>長さ寸法」を使って、交点ごとの長さを示しておくと、構築線がわかりやすくなります。
なお、副線は今回で使用するのが終わりです。
レイヤー管理のウィンドウを開いて、上画像のようにロックした状態にすると、誤って動かす心配を防げます。
AutoCADの作図チュートリアル
前述した準備のチュートリアルが完了したら、実際に作図を開始しましょう。
なお、今回の作図チュートリアルでは、上画像と同じ形状の図形をAutoCADで再現します。
紹介するチュートリアルの手順に合わせて、作業を進めてみてください。
図面を作図する
まず、AutoCADでオブジェクトを挿入する際には「ホーム>作成」にある項目を利用します。
なお今回のチュートリアルでは、以下の機能を利用します。
- 円ツール
- 線分ツール
まずは上の参考画像と同じ位置に円形ツールを配置しましょう。
本チュートリアルでは「ホーム>作成>円>2点」という項目を使って、交点同士を結びます。
レイヤーを「主線」に変更してから、以下の画像と同じ円を作成してみてください。
続いて「ホーム>作成>線分」をクリックして、円の下側に下画像と同じように線を描いてみましょう。
なお、作図チュートリアルは次項で説明する修正を組み合わせることで、見本の図面と同じものを用意できます。「円が二重ではない」「途中の曲線がない」という方は、次のチュートリアルで解決が可能です。
図面を修正する
前述したチュートリアルに引き続き、図形を見本と同じ形にするために、修正機能を活用しましょう。修正機能とは、挿入してあるオブジェクトの形状を変えたり、既存のオブジェクトを利用して、新たなオブジェクトをつくり出す際に利用します。
まずは、前チュートリアルで用意した円のなかにもうひとつ円を描くために「ホーム>修正>オフセット」を利用して、同じオブジェクトをスライドして配置しましょう。
- オフセットを起動したらコマンドラインに20と入力してエンターを押す
- 円形を左クリックしたら円の内側へカーソルをスライドする
- 円の内側に新たな円が表示されたらもう一度左クリックを押す
これで新たな円形が内側に表示されました。
続いて、下側の「凸」という形をした角を丸めます。
角がある部分を丸めて表示させる場合には、フィレットという機能を利用します。
フィレットには丸めるという意味があり、交差線を任意の大きさで丸めることが可能です。
「ホーム>修正>フィレット」を選択したら、以下の手順で線を丸めてみてください。
- コマンドラインに表示されている「半径」をクリックする
- コマンドラインに100と入力してクリックする
- 丸めたい線を2つ左クリックで選択する
- 丸まったイメージが表示されたらエンターを押す
これで見本のオブジェクトを再現できました。
なお、作図チュートリアルで使った機能はAutoCADに搭載されている機能の一例です。
ほかにもさまざまなAutoCAD機能が搭載されているので、気になる機能に触れてみてください。
寸法情報を追加する
作成したオブジェクトの大きさをわかりやすくするチュートリアルとして、AutoCADの機能を使って寸法を挿入しましょう。
寸法機能は「注釈>寸法記入」から利用できます。
本AutoCADチュートリアルでは、長さ寸法の機能を使って見本の図面を再現します。
- 下画像と同じようにオブジェクトの中心位置で寸法をまとめて挿入する
- 重なると見えづらいため、寸法をすべて選択して外側にスライドする
ちなみに寸法情報は、円形の半径や曲線長など、さまざまな情報を表示できます。
今回作成したAutoCADチュートリアルのオブジェクトを使って、さまざまな寸法を挿入してみてください。
AutoCADの印刷チュートリアル
AutoCADで作成した図面を紙やPDFとして出力したい人向けに、印刷までの作業をチュートリアルにまとめました。2ステップで簡単に印刷できるので「上司に図面をみせたい」「成果品として提出したい」という場合には紹介するAutoCADを参考にしてみてください。
レイアウトに配置する
先ほどまでのAutoCADチュートリアルの図面は、モデル空間という場所で作成していました。
一方で綺麗なデザインで印刷をする際にはレイアウト空間を利用する必要があります。
まずは画面下側に表示されている「レイアウト1」という項目をクリックしてみましょう。
すると画面が切り替わるので、上側の編集ツールバーに追加された「レイアウト>レイアウト>新規作成>テンプレートから」をクリックして「SXF_C_custom.dwt」を選択してください。
すると、以下と同じ画面が表示されました。
次に「レイアウト>レイアウトビューポート>ビューを挿入」をクリックして、モデル空間で印刷したい範囲をドラッグして選択してください。これで以下の画面が表示されます。
AutoCADでは、レイアウト空間に図形のビューを貼り付けることで、体裁を整えることが可能です。業務で必須の準備となりますので、紹介したチュートリアルを参考に、印刷の準備を整えてみてください。
印刷する
AutoCADの最後のチュートリアルとして、用意したレイアウトを実際に印刷してみましょう。
まずはAutoCADの画面左上に表示されている印刷ボタンをクリックしてください。
すると、上画像と同じウィンドウが表示されます。
また、印刷をする際には、次の項目が正しく設定されているのかを確認しましょう。
- プリンタの名称
- 用紙サイズ
- 部数
- 印刷領域
- 図面の方向
上記の設定を間違えると、予期せぬ場所で印刷されたり、イメージと違う図面が出てきます。
正しい設定を選ぶと、次のPDFデータが出力されました。
本記事のチュートリアルは、AutoCADの基礎知識として役立ちます。
何度も繰り返しチュートリアルを練習してみてください。
また、チュートリアルに合わせてAutoCADの基本操作を覚えたい方は、以下の記事がおすすめです。
AutoCAD初心者におすすめの練習方法
AutoCAD初心者は、本記事で紹介したチュートリアルを活用して操作方法を覚えるほかに、次のような手段でAutoCADのノウハウを学べます。
- 書籍を購入して学習する
- 動画配信サイトの無料動画を見ながら練習する
- Autodeskのマニュアルを活用して学ぶ
また、独学が苦手な人は、プロの講師から操作方法や機能学べるAutoCADセミナーに参加するのがおすすめです。チュートリアルをひと通りやってみた人は、より詳しくAutoCADを学ぶために以下のセミナーに参加してみてください。
AutoCADの操作を効率化する基本コマンド一覧
本記事のチュートリアルで紹介したAutoCADを、さらに効率よく利用したい方は基本コマンドを覚えておくと便利です。以下に、作業スピードをアップするコマンドをまとめました。
省略コマンド | 用途 |
L | 線分ツールを起動 |
PL | 2Dポリラインツールを起動 |
SPL | 曲線ツールを起動 |
A | 円弧ツールを起動 |
EL | 楕円ツールを起動 |
REC | 長方形ツールを起動 |
PO | 点ツールを起動 |
AutoCADのコマンドはほかにもさまざまな種類があります。
詳しくは以下の記事で解説しているので、あわせてチェックしてみてください。
AutoCADのチュートリアルについてまとめ
AutoCADを1から学びたいのなら、まずはチュートリアルをひと通り練習して、基礎能力を高めることが大切です。本記事のAutoCADチュートリアルは業種を問わず利用できる内容になっているため、ぜひ何度も繰り返しAutoCADのチュートリアルを練習してみてください。